Novel

□鈍色の恋
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男だろうが、女だろうが関係ない。
ただ快楽だけをくれて、後腐れのない奴なら誰でも。
俺は、好きって言うよ。
愛なんてなくても。

仲原の鋭い眼光が気に入った。
アイツの歪んだ顔が見たい。
だから、つい暴力振るっちゃう。

所謂、好きだから苛めたくなるってやつ。
でも、俺の場合は、傍から見たら完全な苛め。

だって、好きなんだもん。

体だけでも欲しい。
多分、その次は心が欲しくなるんだろうなぁ。
俺って世間一般で言う狂った子だから。

不良とかそんな言葉じゃ、収まらなくなっちゃったみたい。

甘えた声で名前を呼びながら、仲原を殴る。
歪んだ表情に欲情しちゃったり。

「なぁ、俺のことスキ?」
「…」

頬を殴る度に乾いた音が響く。

「なぁ、俺のことスキって言って?」
「…」

何にも言ってくれない。
響くのは殴りつける醜い音だけ。





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