Novel

□我儘キャット
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裸エプロンいいよなぁ、と密かに漏らした次の日そのプレイは用意されていた。
だが、問題はプレイの相手だ。
俺の前に居るのは、憲太のことを傷付けた悠斗。

どういったスケジュールミスでこうなったのかは分からないが、俺はしたくもない仕事をしてまで金を手に入れたいと思う程金に困ってはいない。
ましてや、何より大事な憲太を傷付けた男を抱く気なんて到底起きなかった。
むしろ、殴り飛ばしてやりたくなるほどの嫌悪感だ。

「仕事場間違えた」
「え…?」

俺じゃダメですか?と言う上目遣いの下品な芝居に反吐が出る。

「お前じゃ勃たないし」
「…どういうことですか?」
「憲太じゃないと勃たないって言ってんの」
「…仕事放棄ですか?」
「あぁ?違ぇよ、今から隣の部屋に仕事しに行くの」
「…クビになりますよ」
「俺をクビに出来るわけねぇじゃん」

俺がこの会社にとってどれだけ重要な存在か自分で分かっている。
少なくとも俺と悠斗だったら会社は間違いなく俺を取るだろう。
それだけ売り上げに貢献してるのは事実だ。

「あんな奴のどこがいいんですか?」
「…聞いてどうすんの?お前に答えんのも勿体ないし」
「…全然釣り合ってないのに」
「バカじゃねぇの、そんなん考えて付き合ってねぇよ。好きだから一緒にいんの」

俺こんなこと言う奴じゃなかったんだけど。
好きだとか、愛だとか、そんな言葉嫌いだったはずなのに、憲太のこととなると自然と口をついて出て来る。

「…俺の方がよっぽど、榛名さんのこと好きなのに」
「憲太以外に好かれても嬉しくねぇし」

我侭で傲慢だと思われようが、俺は憲太とする行為以外はセックスとは認識していない。
早く憲太に会いたくて、引き止める声を無視して隣の部屋へと急いだ。





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