Dream・カルマRain2
□カルマRain 穏
1ページ/2ページ
自室のベッドにマチをゆっくりと降ろし腰掛けさせる。マルコは床にひざまずく様に姿勢を落とした。
「マチ、大丈夫か?」静かに気遣うマルコにマチは小さく頷いた。
依然俯いたままのマチ。マルコは部屋に入る前の言葉を思い返した。
『薄情』
確かにマチはそう言った。そしてマルコは漸く意味に気づいた。
「…マチ、俺を見てくれ。」その声にマチの肩が揺れたが俯いたまま、それに応えようとはしなかった。
白ひげ海賊団はクルーの結び付きが強い。家族の絆を何よりも重んじている。だからこそマチは自分を恥じていた。
だがマルコは思う。そんな必要はマチには全く無いのにと、今まで彼女は自分の命を懸けて、家族や仲間の為に復讐に身をやつしてきた。その他の事は全て捨ててきたと言っても過言ではない。
そしてそれが一旦の終わりを告げ、自分達と過ごすようになった。
彼女の人生の中で、これほど多くの人と交流する事は今まで無かったに違いない。
寝食を共にし、自分達の中でマチの存在が大きくなっていった様に、マチにも変化が訪れているのだ。
それを自分達は喜びこそすれ、薄情だ、等とは思いもしない。
「…薄情だってんなら、そりゃ俺の方だろい。俺を庇った所為でマチは…死にかけた。なのに見舞いにも行か無ぇなんて、俺の方がよっぽど酷いだろい?」
それに只々首を横に振るマチにマルコは苦笑いを浮かべた。
そしてマチの頬にそっと手を滑らせた。
「ありがとねい、マチ。…次は、俺がお前を守る。誰にも、お前を傷つけさせたりしねぇ。約束する。…だから俺を見てくれないかい?…お前の瞳が見たいんだよい。」
優しく、でもどこか焦燥を感じさせるその声音にマチがゆっくりと目線を上げる。
ひざまずいたまま、下から見上げたマチの瞳に自分が映る。
泣き笑いみたいな顔をした自分が金色の光に包まれていた。
あぁ…やっぱり…
マチ。お前は、
「……綺麗だ。」
そう呟いて、マルコはマチの頬を濡らす雫をそっと拭った。