Dream・カルマRain

□カルマRain 序
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白ひげ海賊団・1番隊隊長マルコ

いつもはその重責から(主にエースとか書類とか…エースとか)島に停泊していてもなかなか自分の時間は持てないのだが、その日は珍しくゆっくりと陸の感触を楽しんでいた。


ハァ〜…何だかねい 暇なら暇で何したらいいんだか忘れっちまったねい

なんて考えながら、見るとはなしに賑やかな街をブラついて…気付けば海岸に続く林道を歩いていた。
結局は海に戻って来たくなり自然にそちらに向かってしまえば、自分は根っからの海賊なんだな、と一人苦笑いを浮かべた。
……と、その時……


……?何だ?

ふと違和感を感じて辺りを探る。
微かな人の気配と、金属がぶつかり合うような音が少し先の林から聞こえる。
それに興味を惹かれて足を向ける自分にマルコはまた苦く笑う。

気配を殺して近づき音のする方を見据えた。数瞬後、林道脇の藪から男が一人凄い勢いで転げるように飛び出てきた。

…!海賊…か?

だとすれば海軍に追われているのかとマルコは一瞬身構えた。
せっかくひと時の暇を満喫?していのに、厄介事が舞い込んで来ちまったよい、と小さく舌打ち、この先の出来事を幾通りも頭の中でシュミレートする。
だが、男を追って出てきた人物を見てマルコは、些か驚いた。


…ンあ?ありゃ…ガキじゃねぇか?女……か?
いや、男か。

そう、藪から現れたもう一人はまだ年端のいかぬような子供だった。
全身黒い服で覆われている、上はタートルネック、口元は布で隠れている。下はボックスプリーツの巻きスカートのような物、そこから見える足はぴたりとしたパンツを履いていて編み上げのブーツ。そのうえ腰位までの短いマントまで、髪はロングでポニーテールのように高い位置で一つに束ねられている。

それだけなら女の子だと思った筈だが、マルコが男だと考え直したのは、服装以外の容姿からだった。
殆どが隠れているが、マントから除く腕はヒョロヒョロで酷く汚れていた。ロングの髪も傷んで艶も何もあったものじゃ無い。伸ばしているんじゃなく、「延びちゃいました」風だ。
そして何より目を引いたのは、両手に構えている二振りの刀だ。
刀と言ってもサーベルでもダガーでも無い。
《ナタ》のような形だ。
……マルコがそんな事を考えている間にも、少年はその不気味な形状には似つかわしくない流れるような静かな動きで目の前の男を仕留めた。
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