Dream・カルマRain
□カルマRain 和
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程なくモビーに戻ってきたマルコにサッチの怒号が(いつもの事だが)聞こえてきた。
「ゴルァア!!!エーーースゥーーーウ!てめぇ何度言やぁ分かるんだ!この脳みそウミウシがぁ ぁ〜〜あぁ!?……おっ?マルコお帰り〜早かったな?」
「…よぃ」
つまみ食い常習犯エース(←つまみ食いの範疇は遥かに越えているが)
を、包丁片手にサッチが追いかけ回しているようだ。
そのついでに『お帰り』と『ただいま』の挨拶を済ませ、周りを見渡せば船縁やらドアやらに刺さった包丁が目に入り、
……どっと疲れを感じるよい……
と、思いながらも緩く口端を上げてしまうのは、やはりここが自分の愛すべき家だからだ。
「またエースかよい。懲りねぇない。」
「何でそこに陸があってメシ屋があるってのに、船で食うんだ!?また買い出し行かなきゃならねぇじゃねーか!」
サッチのその言葉を聞いて、マルコはくつくつと喉奥で笑った。
エースもオレと同じなんだろぅよい。
と、心の中で思う。
白ひげ海賊団は家族だ。皆一人一人に何かしら淋しさがある。だから、ここ(モビー)にいる。
……自分以外の誰かが、いつもここで帰りを待っていてくれる。そしてこのデカイ船には、でっけぇ『親父』がいるのだ。
「おっ!マ〜ルコ〜〜!お帰り〜〜〜!!」
と、遠くマストの上から、末の弟が太陽みたいに、ニカッと笑って手を振っている。
「お前ぇは、今日晩飯抜きだよい!
だかんなぁ!」
サッチとマルコは同時に叱り付けてさっさと船内に戻って行く。
後ろでは末っ子がまだ何かブータレていたが二人には知ったこっちゃなかった。