Dream・カルマRain
□カルマRain 炎
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夜の闇にユラユラとなびく蒼い焔が辺りを薄暗く浮かび上がらせる。
マルコは今、サッチが言っていた小さな海賊船を探る為に岸壁の少し奥にある岩かげに元の姿に戻りながら降り立った。
そして、気配を殺し近づく。
『小さい』と言っても、それは『モビーに比べれば』だ。
やはり海賊船、それなりのでかさはある。
その甲板にひしめく無法者達は、酷く混乱しているようだった。実際マルコも状況を見極めるのに一瞬手間取った。
……一体何と戦ってんだよい??
と目を眇〈すがめ〉てみる。
海賊達は各々武器を片手に右往左往。それを縫うように黒い小さな影が……
舞う。
まさにそんな感じだ。無駄な動きは一切なく、只、静かに、確実に、
両刀を華麗に操り海賊達を仕留めていく。
…!!あの刀!ありゃ昼間のガキだ!
夜目に慣れたマルコの瞳に不気味に光る船上の血飛沫〈ちしぶき〉。
それでも、
それでもそれは、
その殺戮は、『美しい』。
マルコは昼間と同じように、じっとその場を見つめつづけた。
しかし、やはり多勢に無勢。今や少年は船首の船縁に追い詰められ、海賊達(半分以上は殺られていたが)に囲まれてしまっていた。