Dream・カルマRain
□カルマRain 走
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サッチとマルコが少年のあまりの重装備に呆けていると、ナースの一人が済まなそうな声で、
「あの…サッチ隊長?マルコ隊長?……すみません。邪魔です。」
「ぉお?わりぃわりぃ!」
「よい。」
邪魔と言われればスミに除けるしかない。
おとなしくスミに寄ったマルコが、それでどうなんだ?と船医に聞こうと口を開きかけた時、船医が肩から木片を引き抜いた。
「……ぐ…ぁあ!?」
痛みで混濁していた意識が覚醒したようだ。様子を見ようとマルコが一歩足を踏み出した途端、それは一瞬で起こった。
少年は素早く目を走らせ状況を把握したようだ。船医をサッチに向けて突き飛ばし、ナースを後ろ手に拘束し首元に船医が使っていたであろうメスが押し付けられている。
それにはマルコもサッチも驚いた。
決して気を抜いていたわけじゃなかった。
なのに、ものの数秒で人質まで取られた。
少年はナースを盾に出入口の扉の側までゆっくりと下がり始めた。
「……た…たい…たいちょ…??…」
ナースは蒼白になってマルコ達に指示を仰ぐ。
「黙って、じっと、してろい」
マルコのその言葉にナースは微かに頷く。
一方船医を受け止めたサッチは些か出遅れ気味だったが、我に返り直ぐさま体制を立て直す。
そのサッチの横では船医が「あぁ〜〜血がっ!血が〜。こりゃ動いちゃいかん!」
なんて悠長な事を言っている。そのあたり流石は『白ひげ海賊団の船医』といったところか。
そうこうしている間にも少年は後退を続け後ろ手にドアを開けて室外に出ようともう一歩下がろうとした。
その時、三つの事がほぼ同時に起こる。
「よせよいっ!『火拳!!』エース!!」
騒ぎを聞き付けてやって来たエースが火拳を繰り出した。
しかしエースからは、開かれたドアの陰にいる人質のナースは見えていない。
マルコは一瞬早くエースの気配に気づき。エースが何かしらすればナースに当たり兼ねない、と止めに入る。
そしてもう一つ。少年はエースの技に驚きはしたが、避けられないわけじゃなかった。だが避けきれなかった。
ナースを庇う動きをした為に少年の肩先の服を焦がした。
それをマルコは見逃さなかった。