Dream・カルマRain
□カルマRain 醒
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その日からマルコに新しい日課が加わった。
毎日、食事前に医務室に寄り、何をするでもなく、今だ目を醒まさない少年の傍らにただ座りじっと見つめる。
…早く目ぇ醒ませよい。
最初こそ熱を出し苦しげに呼吸していたが、船医がペニシリンを打った事で今では大分落ち着いているようだ。
少年を毎日見つめながら、マルコは自分の心の中を探っていた。確かに白ひげに言ったように、『こいつを理解してやりたい。』その気持ちは変わっていない。
でも、何故そう思うのか、名前すらも知らないというのに。
自分で自分の気持ちに納得がいかなかった。
今日も答えを出せないまま、立ち上がり食堂に向かった。
食堂に入り、ぐるりと室内を見渡すが目当ての人物は見当たらなかった。
……まだ拗ねてんのかい。困った末っ子だよい。
そう、これも最近ではお馴染みの光景だ。
食堂に、あの、『エース』が顔を出さなくなったのだ。どうやら無言の抵抗とやらを実践しているようだ。
「今日も甲板で食うんだとよ〜。」
カウンター越しにサッチがのんびりした口調で話しかける。
それにマルコは、「そうかよい。」とワザと興味が無いような返事を返し、料理を受取る。
サッチはそれにもはや溜息しか出ない。
二人共意地っ張りだからなぁ「…困ったもんだ。」そう独りごちて、マルコの後を追った。
向かい合わせに席につき、食事をしながらサッチが話しかけた。
「様子は?」
言葉少ななその問いにもマルコは馴れたように答える。
「…ぼちぼち」
「ハァ…そっかぁ早く目が醒めりゃ良いな〜。」
言った後、テーブルを挟んで、ずずい、と距離を詰めてきたサッチにマルコが訝〈いぶか〉しむ。
「なぁ、マルコ。知ってっか?あの話。」と小声で話し掛けてきた。
「?何の事だい。……てか、近ぇよい!」ぐいぃ〜、とサッチを押し戻してからコーヒーに口をつける。
「マルコのロリコンゲイ疑惑〜♪」
聞いた瞬間、
「ぶはっっ!!」と、マルコが噴き出す。
「ぎゃっ!!汚ったね!てめっ!リーゼントにかかったろうが〜!!」
ぎゃーぎゃー喚いているサッチなんかどーでもよかった。
…今、何つった?俺が何だって?
そこまで考えてサッチの胸倉を掴み上げた、
「っんなワケあるか〜〜!俺は根っからの巨乳好きだい!!」
「マルコ、朝からエグイ。」
と、通り過がったハルタに一瞥〈いちべつ〉を喰らった。