Dream・カルマRain

□カルマRain 揺
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白ひげとマチとの対面を傍で見ていたマルコは少なからず驚いていた。
白ひげを目の前に、あれほど気丈に振る舞い、天つさえ睨みつける者を初めて見た。

なのに、今。医務室までの廊下を歩くマルコの腕の中に居るこの少女の軽さは何なのか。

そして、この少女の今までを想う。
暗い瞳の原因を、白ひげに向けたあの怒りの元を、自分はまだ知らない。
それが歯痒ゆかった。



次の日の朝、その日は何だか医務室に行く気になれなくて真っ直ぐ食堂に向かった。

いつも通り、コーヒーを受け取り席に着こうとするとサッチに呼び止められる。

「おっ??マルコ!ちょうど良かった。………ほい。」と皿を渡された。

「……頼んでねぇよい。」
「お前にじゃなくて!マチにだ。サッちゃん特製『栄養満点!オートミール!早く元気になってね♪スペシャル』だ!」

「…………………。」

「……何か言えよ。恥ずかしいだろが、コラ。」
「嫌だよい。自分で持ってけ。」
「何言ってんだ〜自分が連れて来たんだろが?責任持てよ〜。って事で♪ホレ、行った行った!!」

無理矢理皿を持たされ、渋々マルコは食堂を出て医務室に向かった。

ドアを開けて入れば嗅ぎ慣れた独特の消毒薬の匂い。
ナースは忙しそうに働いている。

「あら?マルコ隊長。今日は遅かったですね?」
ナースにそう言われて、多少の気恥ずかしさを感じた。
マチが来てからここへは毎日の様に通っていた。それを知らされるようで、何とも居心地が悪い。
そんな事はお構い無しにナースはマルコに話しを続けた。

「まぁ!美味しそう♪マチにですか?」
「……あぁ、サッチが持ってけって言うからよい。」
「サッチ隊長が?」
「…アイツ……食べても大丈夫かよい?」
「えぇ、固形物はまだ無理ですけど、オートミール位なら大丈夫ですわ♪…ホントに美味しそう。」「特製……なんたらスペシャルらしいよい。」と適当に返すマルコに、ナースは優しく笑って、
「皆初めての《妹》を可愛がりたくてしょうがないんですね♪」何て言いながら、部屋を出て行った。


……まだ《妹》になるかは分からねぇがねい…

と心の中で返しながらマチの眠るベッドに向かった。
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