Dream・カルマRain

□カルマRain 集
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どんよりとした雲が辺りを覆い、じめじめと重い空気の中マルコはとある島に降り立った。
次に寄港予定であるこの島は年間通じて晴れ間が殆ど無いらしい。
偵察の為、早朝モビーを飛び立ったマルコは常より気怠げに街までの道を歩いていた。

《歩く》と言っても堂々と歩けるわけではない、何故なら港には海軍の船が2隻も停まっていた。他に貴族達が乗るような悪趣味な船が何隻もあった事から多分、護衛艦だろう。

だからこそ違和感が否めない。
このどんよりと憂鬱な島は、近くの他の島に比べて小さい方だ。航海士も、これといって目新しい物は無いと言っていた。
街に入れば、より違和感を感じる。
何やらお祭り騒ぎのように賑わっている。
これなら人に紛れる事が出来るだろうと、探索してみるが、この規模の島にしてはやはり


……人が多過ぎる。それにあちこちに海兵が配置されてるよい…一体何があるってんだよい?

マルコは警戒しながら辺りを探る。すると何やらビラを配っている男がいる。気になって近づきそれを手にとってみた。

ビラには
『3年に一度のスペシャルオークション!!世界の名品・珍品が勢揃い!今宵貴方は栄光を手に!』
とデカデカと書いてある。その下には、出品されるのだろうお宝のリストがずらりと並んでいた。
するとビラを配っている男がニヤニヤと笑いながらマルコに声をかける。

「よぉ〜兄ちゃん。海賊だね?あんたもオークションを見に来たんだろ?やっぱりお宝に興味あるんだな〜海賊ってのは」

確かに自分は海賊だ。
故にお宝にだって興味はある。
だがオークションには全く興味は無い。
何故なら海賊だから。

……金払って買うお宝って…何だ?同じ金払うなら酒か女買うよい。…

と呆れつつビラをポケットに突っ込んだ。

それから島をぐるりと一周してみた。
モビーが寄港するには些かタイミングが悪いが、仕方が無い。街からは離れて物資補給には多少不便だが、島の裏手に停めるか。等と考えながら空に飛んだ。


今にも泣き出しそうな雲が島を飲み込むように覆っていた。
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