Dream・カルマRain

□カルマRain 宴
1ページ/2ページ




『マチ。お前ぇはやっぱりこの船に乗れ。』

白ひげのその言葉にマチの心は確かに揺れた。今までの孤独を埋める何かを彼女自身知らずに感じていたのだ。

だが、手の中の二つの瞳がこちらを虚ろに見ている。琥珀の中の虫の様にそこに魂は無いのに、永遠に最期の記憶を留めているのだ。
そしてそれはまた、マチも同じだった。
長い間《海賊》を認めなかった気持ちが澱〈おり〉の様に心に積もっている。

マチは白ひげを真っ直ぐに見つめた。その瞳には、決して心の中に入り込ませはしないという意思が映っていた。

それを感じ取り、白ひげは小さな溜息を吐いて、続ける。
「マチ、手前ぇが取り戻すと言ったんだ。この船に乗ってりゃ、色んな場所に行けるぞ。」

これには、その場の全員が驚いた。今まで白ひげが交換条件をつけてまで乗せようとした事は無かったからだ。

そしてようやくマチが口を開いた。
「そう言って貰えるのは、とても有り難い。」
それを聞いたエースがマチに駆け寄ろうとしたが、それを少女は片手を上げて制した。

「…だが私は、やはり《海賊》の家族にはなれない。」
そこで一度言葉を切り、部屋の中の全員を見て最後に白ひげを見上げる。

「キャプテン・ニューゲート。それでも良いと言ってくれるなら、この船に乗る間あなたと、その家族の、役に立つと約束する。」

皆静かにマチを見ていた。
《親父》の誘いを真っ向から拒絶した少女に、腹を立ててもおかしくないのに、何故かそんな気にならなかった。
いや、むしろ清々しささえ感じた。彼女の中に在る崇高な何かに惹かれたのだ。
そしてそれは白ひげも同じだったらしい。

「グララララ!!良い度胸じゃねぇか!
……だが気に入った。役に立つってんなら、お前は文句なしだ!戦闘に関しちゃ〜うちのマルコのお墨付きらしいからな〜!お前ぇら!文句は無ぇな!無いなら出港だ!!」
と一際大きく笑った。

それに隊長全員が大きな声で応えた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ