Dream・カルマRain2

□カルマRain 帳
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夜の帳〈とばり〉が降りる頃、モビーの甲板にはコック(+サッチ)が腕を奮った美味しそうな料理が所狭しと並べられ、主役の登場を今か今かとクルー達が待っていた。皆一様に落ち着かない感じだ。
いい歳をしたオッサン(しかも厳つい海賊)達が、ソワソワ、ウズウズする姿にナースがクスクス笑っていた。

甲板の船首に近い場所に置かれた大きな椅子。そこに既に座っている白ひげも息子達のその姿にさっきから上機嫌に笑い声を上げていた。

しかしその浮かれたクルー達の中に、神妙な顔つきのエース、押し黙っているサッチがいた。二人はマチを迎えに船内に入って行くマルコをじっと見ていた。三人三様の心情を余所に宴の夜は盛り上がりはじめていた。



一方、医務室ではマチが今夜の宴に参加する為の諸注意を受けていた。

「マチ、今から言う事は神の声と同義だからな?良く聞け。
一つ、酒は絶対禁止。
二つ、自力で歩かない。
三つ、食べるのは消化しやすそうな食いモンだけ。
四つ、エースには近づかない。
…分かったな!」

それなら宴に出ない方が良いのではないか?
そう思ったマチが口を開こうとした時、ドアをノックする軽い音が聞こえた。見ればマルコが扉にもたれてくつくつと笑っていた。

「ドク、大丈夫だよい。俺が歩かせたり、酒を飲ませたりしないように見張っておく。それにサッチがマチ用に料理を作ってたよい。……ま、四つ目は俺も賛成だい。」

「…な〜にが『大丈夫だ』だ。お前さんには前科があるからな。」とじっとりとした目つきでヒューゴがマルコを見た。
病み上がりのマチと部屋で一緒だったのをまだ根に持っているようだ。
それにはマルコも苦笑いを浮かべて、ごまかす様にマチに話し掛けるしかなかった。

「マチ、用意は良いかい?皆お待ちかねだよい。」そう言って当たり前の様にマチを抱き上げ、そのまま医務室を後にした。
後ろからは、ドクが「2時間だけだぞ〜!」と何やらまだ注意していた。
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