Dream・ゴールデンRule

□ゴールデンRule その5:黄金律は神への方程式
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ゴールデンRule
その5:黄金律は神への方程式



青い海は今日も雲一つ映さず澄み渡っている。その海に巨漢の男がカラフルな小さな浮きを垂らしていた。

口笛を吹きながら釣りをするのは、魚嫌いのルゥだ。嫌いな筈の釣ったばかりの魚をにんまり見つめてご機嫌に振り返った。

「うぉーい、ベン。お頭呼んできてくれよ。」








小さなノックの音に反応したのは、その部屋の主では無くリツだった。
それに少々驚いたベンだったが夕べのやり取りを思い出して気を取り直す。

「そうだったな、お嬢ちゃんが居るんだったな。お早うさん。」
寝ていない者に朝の挨拶も何も無いか、と一瞬思ったがリツが同じように挨拶を返してきたからそのまま流すことにして、ベンは彼女の後ろの小山になったベッドに声を掛ける。

「おい、お頭!起きろ!飯だぞ!」

そして乱暴にシーツをひっぺがしてしまった。

しかしシャンクスも手強いようでそれでも目を覚まさない。
それを見たベンは近くにある枕を掴み、それをボスン、と投げつけた。

「……ブッ!?……??」

「おぅ、起きたか?」

「…………ベン、もうちょっと優しく起こせねぇか…毎朝これじゃ鼻が無くなっちまう。」

「馬鹿が、気持ち悪い事言うな。そんなモンは女にやって貰え。」

「……………………。」

「……………………。」

「…………………やらないぞ、私は。」

二人の視線に耐えかねたリツが視線も合わせずに切り捨てる。

それにアテが外れたベンが溜め息をつきながら床に落ちている海図を拾いきちんと折り畳む。

「いい加減にちっとは片付けねぇか。…ったく。」
ベンの小言も慣れたもので、シャンクスは欠伸をかきながら答える。

「母ちゃんみたいな事言うな。片付けなんかやれる奴がやるもんだ。」

「…………………。」

「…………………。」

「………………だからっ、やらないぞ、私は。」

そしてリツは、いい加減にしろとばかりに立ち上がり部屋を出ていってしまった。

「………………。」

「………………何だよ?」

暫く閉じられたドアを見ていたが、不意にベンがシャンクスを振り返り探るような視線を向ける。それに堪えきれなくなったシャンクスが素直に尋ねれば、
ベンが歯に衣も着せぬ言葉で問い返す。

「…いーや、こましちまったかと思ったんだが?」
そう言ってにんまり笑う。

「ばっ!馬鹿やろ!やるわけねぇだろっ!まだ子供だろうが!」

いやいや、そうじゃないだろう……それを言うなら相手は神様だ、とかだろ。

そんなベンの心の中の突っ込みを余所にシャンクスは何やらぶつぶつと文句を垂れている。

「……、大体俺は腹減ってそれどこじゃ無いっての、……」

それを聞いたベンが、ハタと我に返った。

「そうだった。お頭、飯だぞ、さっさと来ねぇと《また》食いっぱぐれるぜ。」

そう言ってベンはリツ同様、さっさと部屋を出ていった。

しかしシャンクスはボーッと考えていた。


昨日組み敷いたリツの事を。

細い手首は間違いなく女のそれだった。
瞳の深緑がシャンクスの欲を刺激したのは秘密だ。

まさか自分にペドフェリアの気が有ったとは些かショックだが、相手が相手だけに分からない。

なんせ、死神。
何か人を惹き付けたり、可笑しな気持ちにさせる特別な魅力が有るのかもしれない。

「………〜〜、ダーー、もぅ!!知るかっ!!」
考えても埒が明かない、とシャンクスは赤毛を掻き毟りながら部屋を後にした。
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