Dream・ゴールデンRule

□ゴールデンRule その7:祈る心に神は宿り、甘い花は夜に咲く。〔後編〕
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ゴールデンRule
その7:祈る心に神は宿り、甘い花は夜に咲く。〔後編〕



夕暮れ、露店のランタンに火が入り始めた頃街の雰囲気が一変する。
あちこちで聴こえていた陽気な音楽も静まり、人々は小さな明かりが揺れるキャンドルを手に皆同じ方向に歩いている。

流れに沿って広場を抜ければ、長い階段の両脇に人々が手にしたキャンドルを置いている。

見上げた先には真っ白な大きな祭壇に、沢山の花と果物、木の実や魚、その他にも藍色や山吹色で染められた美しい織物が供えられている。

自然が織り成す色とりどりの美しさに一行は暫く黙ったままだった。


何処かからシンバルのうち震える音がした。

シャーン、シャーン、と少しずつ大きく鳴る音に弦楽器の音が加わる。


気付けば辺りは闇に包まれていた。


緩やかに流れる独特なリズム。
一人、また一人と花娘達が踊り出す。

荘厳〈そうごん〉で厳〈おごそ〉か。
そして、たおやかで柔らか。

闇の中に、ランタンで照らされた極彩色の花々が舞っていた。






広場に戻ると、愉しげな音が加わり娘達がくるくると回りながら、街にいる男や女を踊りの輪に誘う。

ランタンで飾られた露店の前にはテーブルや椅子が並べられ皆思い思いに食べたり飲んだりしている。
当然シャンクス達も例に漏れず、飲んで食べて豪快に笑っている。いつの間に合流したのかルゥもその中にいた。

街の住人達とは既にすっかり馴染んだようだ。

ヤソップはジョッキ片手に息子の話しをしているし、ルゥはガタイの良い若者と早食い競争している。
テーブルの端では、ベンが花娘に踊りに誘われて珍しく困った顔をしていた。
そして、シャンクスは正に両手に花状態だ。豊満ボディの美女達を両手に、街の親父達と楽しげに酒を酌み交わしている。

リツはそんな面々を少し離れた場所から見つめた。

彼らの愉しげな表情にリツの顔も思わず緩む。

そして、殆ど無意識に両手を胸の前で組み頭〈こうべ〉を垂れる。




祈らずにはいられなかった。


風が舞い、花が薫るこんな夜には。



彼らがどうか、
永遠に続きますようにと。
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