Dream・カルマRain
□カルマRain 捜
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浜辺に着いてすぐにマルコが駆け出す。それを見てエースも(不本意だが)後を追った。
暫く走ると辺り一面がきな臭い匂いに包まれる。さっきまでこの場にあった船はその姿を消していた。
文字通り《海の藻屑》になったようだ。
すると一際大きな残骸の側に気配を感じてエースが目を凝らす。
……!マジか!?
エースは俄〈にわ〉かに信じられない気持ちで駆け寄り人差し指に火をともす。
そこには小さな身体を横たわらせるあの少年が居た。
急いで息を確認すると、大声でマルコを呼ぶ。
「マルコ!!こっちだ!!」
それからはあっという間だった。
モビーに戻ると船医がサッチに言われ、助ける為の準備をしていた。直ぐさまオペが始まる。
幸い肩の傷は見た目より浅かったらしい。しかし海水に浸かった為に皮膚を大きく削り消毒しなければならなかった。
感染症を防ぐ為だ。
程なく、多少疲れた様子の船医が医務室から出てきた。
医務室の前にはこちらも疲れた顔をしたマルコが壁に背を預けて立っている。その横にはエースが胡座を掻いてぐーすか寝ていた。
マルコが重く口を開く。
「助かりそうかい?」
それに船医は何とも言えない顔をした。
「わからない。だが、やれる事はやった。サッチもエースも…お前さんもな。」
マルコはその言葉に目を伏せて「ありがとよい」と小さく零した。
だからあの子が死んだとしても、それはしょうがない事だ。誰のせいでも無いのだ。と船医はマルコに暗に伝えたのだった。
「親父への報告に行ってくる。サッチに任せっきりだからよい。」
「わしも行くか?」
「いや、あんたは此処にいてくれ……………エースも頼めるかい?」
「…わかった。」
エースを見下ろし二人で苦笑いして、マルコはその場を後にした。