Dream・カルマRain
□カルマRain 信
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甲板に出れば、もう朝日が昇り始めて海を煌めかせている。
長い一日だったねぃ…と船縁に手をついて海を見つめる。
あの後、白ひげは何も言わなかった。
ただ大きく笑い声を上げ、出港の号令を出した。
他の隊長達も皆何も言わなかった。マルコに『お疲れさん』と言った後、部屋から出て行った。
皆が自分を心底信じてくれるのが、堪らなく嬉しかった。ちょっぴり泣きそうにもなってしまった。
…三十越えたおっさんが…泣くとか………恥ずかし過ぎるだろい!
その時の事を思い出し、思わず頭を抱えてしゃがみ込んだ時、後ろからドカドカと足音を鳴らしエースがやって来た。
「マルコ!何考えてんだ!!」と、開口一番怒鳴った。
「…………何がだよい」
「何がって、アイツの事だ!……乗せるつもりでオレに捜させたのか!?」
「じゃなきゃ捜さねぇだろい。」
「ぐっ…た…確かに……そりゃっ、そうかもだけど……っ…だけどアイツは人質とるようなヤツなんだぞ!?」
「エース。あれは、《しょうがなく》そうなった事だ。」
「…家族を危険に晒した!そんなヤツ認められねぇ!!」
「ハァ〜…一番危険に晒したのはエースだろい?あいつが庇わなきゃナースは大火傷だったかもねぃ。」
「あ…あれは…その…。………どうもすみません。」と深々頭を下げてしまった。
「…エース。あいつは、お前と、同じ、なんだよい。」一言一言区切るようにエースに言い聞かせる。
それを聞いてエースはぱっと頭を上げて、反論する。
「オレは!あんな卑怯な真似しねぇ!」
そう怒鳴るエースの肩を、ぐっ、と掴んでマルコはさっきと正反対の事を言う。
「だから、だ。
そこが違うから、人質をとった。あれは《しょうがなく》そうなっただけだ。」
そう言った後、頭に盛大にハテナマークを飛ばすエースを残し、マルコはつかの間の休息をとるために自室に向かった。
「??……《同じ》で、《違う》って何??……???」