Dream・ファントムPain

□ファントムPain 思議
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「オイ!」
そう怒鳴ってキッドは慌てて立ち上がり、バスタオルを投げ付けた。それと同時に自室の扉をノックする音が聞こえてますます慌ててしまった。なんせ目の前の女は真っ裸なのだ。

「…キッド、俺だ。話がある。」

…よりによってキラーかよ!?

「キッド?入るぞ?」

「!?ダ…ダメだっ!」
言った後、焦っている自分に気づいて、何で焦ってんだオレ??としばし戸惑う。

その間にも外にはキラーの気配、グズグズしていたら入って来てしまうかもしれない。
とにかく手近にあるタオルをあるだけ女に押し付けてバスルームに引っ込ませてドアに向かった。扉を開ける寸前、キッドはバスルームを振り返った。

「……床!拭いとけよ!それからっ、部屋から出んな!」そう怒鳴ってドアノブに手を掛けた。


が、再度振り返り、今度はボソリと呟く様に声を出す。

「…………髪も拭けっ」その後、何かをごまかすみたいに舌打ちして今度こそ部屋を出た。


バタン、と大きな音をたてて閉まった扉。その部屋の奥ではタオルに埋まる女が微笑んでいた。

「…ふかふか。いい匂い。」

そう言ってまた嬉しそうに白いタオルに顔を埋めていた。
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