Dream・ファントムPain
□ファントムPain 歪曲
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キラーのシャツは女には随分大きくぶかぶかだったが致し方ない。今はこれしか無いのだから。
そう思ってみてもキッドは何だか面白くない。眉間にしわを深めつつ、女を見る。
……胸糞悪ぃぜ。
ただそれが何処からやってくる感情なのか判らない。それがキッドをよりムカつかせる。
「チッ。……手前ぇはこっから出んなよ。」
無性に腹が立つ女から目を逸らしてキッドは自室を出ようとした。
が、その時漸くキラーの宿題を思い出した。
しばし立ち止まったキッドだが、今更聞くのもバツが悪くてやっぱりそのまま部屋をあとにした。
部屋に残されたサラは暫くベッドの上で呆然としていた。
男の行動が全く理解出来ないからだ。
笑っていたかと思うと、急に黙って何だか機嫌が悪くなる。
無言で睨んだ(キッドとしては見つめただけなのだが、)かと思えば、目を逸らす。
急に立ち止まったかと思うと、何事も無かった様にまた動き出す。
一体彼の行動原理は何なのか。それとも海賊とは皆あんな風に理解しがたいモノなのか。
……それとも、あの人は特別変な人なのかしら……
しかしサラは考えるのを辞めた。
あの男が、どんな人間なのかは関係無い。
重要なのは、
《いつ、殺してくれるのか。》
それのみなのだから。