Dream・カルマRain2

□カルマRain 忍
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ひとしきりマルコが一日の出来事を話す。主にエースの馬鹿っぷりだとかを。
だがやはり病み上がりのマチを長時間付き合わせて、また熱でも出たら元も子も無い。マルコはいつも20分程話して帰るようにしている。

今夜も帰りがけマルコは立ち上がりベッドに片手をつき、上体だけ起こし枕にもたれているマチの前髪をそっと払い、形の良いおでこに口づけを落とす。


「ん。熱はもう大丈夫みたいだねい。」
そう言って優しく目を細めるマルコを、恥ずかしさから直視出来ないマチは、伏し目がちに頷く。

「また来るよい。」
マチの頭をポンっと一撫でして離れるマルコをマチは思わず引き止めた。

「あ……。」

「マチ?どうしたい?」

「な…何でも無い。」
掴んでいたマルコのシャツの袖から慌てて離れるマチの手を、今度はマルコが握る。

「寂しいのかよい?マチは子供みたいだねい。」とからかうマルコにマチは否定の声をあげる。

「ちがうっ。」
小さく拗ねる様子が可愛くてマチの唇をマルコは素早く奪った。

「……んう、……」
最初は驚いて体が固いマチも、マルコのキスにだんだん柔らかくその唇が解けていく。

マルコもまた夢中でマチの唇を味わった。
解けた唇からスルリと舌を差し入れて、戸惑うマチの舌を誘う。開いた唇の隙間から覗く朱に下腹がゾクリとするのを感じた。
歯列を割りその小さな舌を優しく吸えばマチから漏れる吐息がマルコの理性をた易く溶かす。

だがそれを振り切りマルコは口を離す。

そしてなけなしの意地でマチをわざとからかった。


「……淋しかったんだろい?……口が。」

「違っ!」

真っ赤になったマチに満足してマルコは漸くマチから離れる事が出来た。


そしてもう一度頭を撫でてから医務室を後にした。



自分はいつまで理性が持つだろうか。今だって神経が焼き切れそうな程苦しい。

だがマルコは今、マチを抱くつもりは無い。
今更何を、と思うかも知れないが、マチに好きだとすら言えてない。マチから言って貰った事も無い。
それに何より、自分はマチに対して秘密を抱えているのだ。

でも自分だって一通りの事を過ぎてきた男だ。キス位は許して頂きたい。

気配を殺し、抜き足差し足で歩くマルコ。その姿は酷く滑稽だった。



「ハァ〜〜……早く良くなれ。マチ。」

そんな呟きを零しながら欲望を持て余す男・マルコは今日も無事に帰路についた。
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