跡日。

□エープリルフール
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「跡部さん。俺はあんたが嫌いです」


今日はエープリルフール。だから俺は跡部さんに嘘を吐いた。どうせ跡部さんは今日が何の日か知っているはずだ。まぁ、それでもよかったのだが。


「そうか。じゃあ、別れよう」


返ってきた言葉は冷たく、そのまま目を合わせることなく部室を出ていった。それに驚いた俺は一人部室の角で棒立ちしていた。


「まさ、か…嫌われたんじゃ」


急いで支度をして跡部さんを追いかけようと靴を履きかえ、ドアを勢いよく開けた。校門まで全速力で走り、角を曲がろうとした瞬間誰かに腕を掴まれ、バランスを崩した。目隠しをされ、目の前が一気に暗くなった。


「誰だ!」

「……」


訪ねてもいっこうに答えようとはしない。じたばたと暴れると、俺を拘束する服から少し甘い匂いがした。この匂いは、跡部さんと同じローズの匂い。


「跡部…さん?」


おそるおそる聞くと、体が宙に浮き俵担ぎをされる。しばらく歩いたところで車のエンジン音がした。俺をその中に放り込み、バンッとドアを閉める音が聞こえた。
車が走り出した瞬間に馬乗りにされて唇を塞がれる。


「んっ…は、跡部さんっ」

「……」

 
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