黒バス。
□桜
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三年間、あいつとはいつも一緒にいた。だけど、今日でお別れ。今日は卒業式。今日にふさわしい桜は満開で、風に舞う花弁は頭上を通ってゆく。卒業証書を片手に、桜を見上げていたら、見覚えのありすぎる緑の頭を目が捕らえた。あいつも片手に卒業証書を持っていた。
「真ちゃんも桜見に来たの?」
「あぁ。それと、お前を探していたのだよ」
「俺?」
人差し指で自分の顔を指すと、こくんと頷いた。その仕草にとくんと胸がときめいた。
俺は一年の頃からこの緑間真太郎に恋をしていた。きっかけがあったわけではない。ごく自然に惹かれた。シュートを決める瞬間の顔、おしるこの缶を近づける唇、長い下睫。すべてが俺の心を掴んで離さなかった。しかし、この思いは告げることなく今日に至る。
「何か俺に用でもあったの?」
「…これ、今までのお礼なのだよ」
そういって手渡されたのは桜色の箱だった。
「開けていい?」
「あぁ」
リボンを解き、包装紙を剥がし箱を開くと、そこにはオレンジのブレスレットが入っていた。そっと中身を取り出すと、文字が書かれていた。
Depuis le premier jour,je t'aime