黒バス。
□光を失った影
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いつもと同じように手を繋いで、いつもと同じようにキスをして、僕たちは自分の家に帰る。その時僕はそれが永遠の別れだとは思っていなかった。
帰り道、携帯がいきなり鳴り出した。電話なんてあまり来ないので誰だろうと携帯を取り出しながら首を傾げる。表示されていたのは黄瀬君の名前で、通話ボタンを押してもしもしと言った。しかし、答えたのは黄瀬君ではなかった。
『黒子テツヤさんですか?○○病院の者ですが、黄瀬涼太さんが事故に遭われました。すぐに病院の方へ来てもらえないですか?』
「っ!分かりました!」
告げられたのは耳を疑うような事実だった。僕は急いで病院へ向かう。病院に着き病室に入ると、そこには荒い息をする黄瀬君がいた。
医者が僕を外に呼び出した。
「彼、今日が山かもしれない」
「そん、な…黄瀬君、助からないんですか!?」
久しぶりに声を荒くして医者に問う。
「車にはねられたのだけど、その時に頭に致命傷を負ってしまったんだ」
どうやら黄瀬君は本当に助からないらしい。ふと疑問が浮かんだ。何故僕に電話が掛かってきたのか。
「何故僕をここに呼んだんですか?」