土沖。
□Ferris wheel
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ほとんどの乗り物を制覇した頃には、空は少し赤くなっていた。あと残っているのは、観覧車。
「総悟。観覧車乗ろうぜ?」
「…へ!?あ、そうですねィ…」
少しどもった総悟のほうを見ると、少しだけ頬が赤くなっていた。理由が分からず少し考えたら、思い当たる節が見つかった。前に来たとき総悟は
『観覧車と言えばチューでさァ!』
と叫んでいた。一人で納得していると、総悟に早くと引っ張られた。ゴンドラに乗り込むと、静寂に包まれてしまった。総悟はずっと窓側を向いたままだ。すると、総悟が口を開いた。
「土方さん…観覧車って、何のためにあるんですかィ?」
「キス、するためだろ?」
「っ…土方、コノヤロー」
「はいはい」
総悟は俺の隣に座り、手を回してきた。俯く顔をクイッと持ち上げ、触れるだけのキスをする。すると、総悟はもっとと言ってきた。
理性がもたねぇだろとつっこみを入れたかったが、普段強請らないこいつからの珍しいことだから、今度は深めにキスをした。首に回してくる手が強くなり、息が荒くなる。
唇を離し、そっと髪に口づけるとくすぐったそうにしていたが、笑いかけてくれた。