土沖。
□止まない雨
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攘夷志士達が町を彷徨いていたとの情報が入り、その日は一番隊のみが現場へ向かった。いつも通り総悟にそっけなく手を振り、いつも通り帰るのを待っていた。
しばらくして、近藤さんが切羽詰まった様子で部屋の襖を開けた。
「トシ、大変だ!一番隊の応援に今すぐ向かうぞ!」
「なんだって!?わかった。すぐ行く」
短く返事をし、刀を手にとってすぐに屯所を出る。現場に着くと、生臭い血の匂いがした。そこには何人かの攘夷志士と一番隊員が倒れていた。すでに息はしていなかった。近くに総悟はいなかった。辺りを見回し路地裏を覗くと、血まみれで壁に背中を預ける総悟がいた。
「おい、総悟!大丈夫か!?」
「土方、さん?」
総悟は今にも消えてしまいそうな声で問いかけに答える。
「ひじか、た、さん。俺はもうダメっぽいでさァ…」
「何馬鹿なこと言ってやがる!」
「わかるんでさァ…身体がうんともすんともいわねぇ」
「んなもん病院行きゃ治る!」
「残念。そんなに長くは…保たないでさァ。雨、すごく冷たいですねィ…あっためて下せェ」
「っ!」
俺は総悟に言われたとおり、力強く抱きしめた。