君は僕の歌

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今私は人生最大のピンチを迎えている。




ここは会社のミーティングルーム。
この間レコーディングした新曲のプロモーションについて、打ち合わせが行われている。
この間といってもレコーディングからは約1ヶ月が経ち、PVの撮影も終え、公式サイトでは既にティーザーが公開されている。


「えー、書類に書いてある通り購入者限定のライブがあるんだけど、これに名無しさんも出てもらうから。」


そう衝撃発言をしたのはチーフ。
スタッフ達がどよめく。


「いくらうまいっていっても名無しさんは素人っすよ。大丈夫なんすか?」


陸に上がった魚のように口をパクパクするしか出来ない私に代わって、同期のスタッフが声を上げた。
ごもっともだ。もっと言ってやってほしい!


「んー、まぁそこは気合いでなんとか。てゆーかティーザー公開の時点で各方面から問い合わせが殺到してるんだよね、あの声は誰なんだって。」


…何てこった!


「個別に対応するのもめんどくさいし。一気にバーンって御披露目する方がね、楽でしょ。」


めんどくさがられている…!


「とゆうわけだから!頑張ってな!」


何たる横暴!



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