平凡勇者と腐った魔王様

□はじまりはじまり
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逆立った赤髪のムキムキが去って数10分。何もする事が無くてボーとなんて出来ず部屋を少し見た。

どうやら此処は風紀室らしい。専門学校なのに風紀室って、普通なのか?俺田舎もんだから解らん。

そして部屋の中に扉が有って、開いたので覗いてみれば一つコンロの小さなキッチン。それに棚には紅茶や緑茶の茶葉とかココアとか。コップも有った。冷蔵庫の中身は水とか牛乳とか小量の野菜とか調味料、パンも有った。此処は給湯室か?

そしてまたさらに奥に扉があって覗いてみれば和室。そして丸いちゃぶ台、畳まれた布団、木製のタンス、積まれた本、押入、掛け軸、窓の外に洗濯物が干されてる。

生活感がとても溢れてるよ?!
誰か住んでるの?!


で、次に給湯室を出て向かいの扉。
開けて直ぐに閉じました。見てはいけない物を見た様な気がします。

あの部屋は一体……奥にも扉が有ったけど入れない。入ってはいけない気がした。


そしてさらに数10分後。
俺、忘れられてない?

暇でソファーでゴロゴロ。
剣を持って鞘から抜いて見たけど綺麗だ。
錆びなんて一つも無しい刃も鋭く綺麗だ。使われた形跡は見あたらない。新品同様に見える。あ、新品なのかも。

マジマジと眺めて鍔(刀身と柄の間にある金具)に虹色に光るホワイトオパール(別名:キューピッドストーン)を見つけた。幻想的で美しい。田舎もんの俺が持つよりあのイケメンの人が持った方が栄えるよな?剣もこんな平凡モヤシよりオッドアイの艶やかなイケメンの方が嬉しいだろうし。

刀身に写る自分が情けない顔をしてる。
この剣はちゃんと返さないと!あげるとも授けるとも言われてないし!

考えていると隣に魔法陣が浮かび光り放つ。そして現れたのは噂をしていたオッドアイの艶やかなイケメン。少し疲れた顔をしている。


「ごめん、待たせた」
「いえいえ、お疲れ様です」
「全く、あの一族は……説明するんだったな、では説明しよう!」
「は、はぁ」


校長に一族?まぁ良いか。取り敢えず大切な説明をして欲しい。


「まずその剣を抜けれたって事はお前は今世の勇者で間違いない」
「まぁ、はぁ」
「で、この学校には勇者を一人前にする為の学科が存在したけれど五年前に無くなった」
「え゛?」
「150年も勇者が現れなかったんだ。まさか今年現れるとは思わなかった」


確かに家の家系は女ばかりだと母さんも祖母ちゃんも言ってたな。


「今の世はモンスターも魔物も大人しいが……勇者が現れたって事は何か起こる予兆なのかもしれない。予言の占い師は何も言ってなかったけど油断はならない」


おっとぉ?!何か重い話になったぞ?!
俺が生まれたから世界の危機的な予兆?!それを救えってか?!


「と、言っておけば後々何か有ったとき使えるから言っただけでまぁ平和だし?勇者科なんて一人しか居ないし。内容も武道学科の剣術専攻と基礎武術と基礎魔術だけだし。魔術使えるなら魔術を専攻にするのも有りだ」


うわぁ、何処からツッコミを入れたら良いんだろ?


「しっかし、お前の身体とかステータス大丈夫か?モヤシより酷い」
「田舎育ちのモヤシですから」
「田舎育ちならもっとマシな……鍛えれば何とかなるか?まぁいいか。はい、時間割表」


プリントを貰って見たが見事に剣術の授業メイン!後は基礎とか自由って。


「コレは学生証。無くすなよ、学生割引が効くんだからな!」


いや、そんなことをドヤ顔で堂々と言われても!


「所で勇者は実家通い?寮通い?どっちだ?」
「い、一応街のアパートを借りてるから其処から通う」
「なんだ、寮通いじゃないのか」


何故残念に思ったんだ?!つか、説明は?!説明終わり?!


「あ、あのさこの剣だけど、」
「その剣はお前の一族の物だ。好きに使え」
「貰って、良いのか?」
「そもそもお前の一族の剣の聖剣。この学校に有ったのは150年前の勇者が未来の勇者の為に預かってくれと言われて厳重に預かっていた。今、その約束を果たす時。勇者に返す」


ひゃ、150年前の剣?!この新品同様の剣が?!しかも聖剣?!


「石はオパールか」
「石に何か有るんですか?」
「前の勇者はエメラルドだったんだ。聖剣は主に合った石になる。幻想的な虹色のオパールだな」


エメラルドからオパールになったのかよ?!すげーな!
……エメラルドも大層綺麗だったんだろうな。


「あ、言い忘れてたな。卒業試験だが学科事に違うんだ。魔術科だと大魔法を拾得したり聖獣召還とか、武術科も大技を拾得したり大会優勝とか有ってそれに合格すれば卒業。で、勇者は試験を二つクリアして合格となる」
「ふ、二つ?!」
「一つは剣術の大技の拾得。もう一つが校長も言っていた事。俺を倒せたら合格だ」
「剣術の拾得は解ったけど、た、倒すって、しかも何でアンタを?!」


イケメンはサラッと言った。


「我が名はサールドール・L・エクステス。この学校の唯一の風紀委員。そしてその聖剣でしか死ねぬ哀れな不老不死の魔王だ」


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