短・中編置き場

□平凡が夢
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俺が晴れの日は屋上、雨の日は職員室のわけを話そう。簡単な事だ、ボスが居るからだ。1年の教室に。そう、奴はダブりだ。ダブりがボスで1年から3年まで牛耳っている。何回ダブってんだ。ダブりで1年なのに全校生徒から畏れられて崇められてるっておかしいだろ。

そんな奴と悲しくも同じクラス。
教室に入れない。クラスに入っても授業風景なんて見たことが無い。他のクラスもそうだ。みーんな遊んでる。先公は常に職員室。学校崩壊してる。

ボスとやらは教室から離れる事はない。
俺が屋上に居ても来ないし来るのは原田だ。原田以外にも来たことは有るが大半は原田。部下に俺を連れて来るように言って自分は動かない様だ。そのおかげで屋上は俺の陣地。1人で煙草を吸って黄昏る。平凡な友人が欲しい。この学校で出来るか?出来ない。100%無理だ。不良しか居ない学校に平凡が居るわけが無い。あぁ、友人と勉強の見合いっこ、笑ってお喋り、部活で熱く汗をかいて競い合い、喧嘩も時々してさ、仲直りして一緒に帰って寄り道にマ○ク寄って談笑。時々恋愛相談してさ、彼女出来て清いお付き合いしてゴール!

そんな平凡に俺はなりたかった……。

雨の日の職員室、そんな事を先公に言ったら諦めなさい。平凡になりたいならこのプリントをしなさい。と、勉強をやらされた。

平凡になりたいです。勉強します。だけど記号はチンプンカンプン。そして寝た。先公はこうなることが解っていたのか諦めて隣で珈琲を飲む。教えてくれよ先公。教えて貰っても寝るけどさ、解りやすく教えてくれよ。


「この学校はね、頭の良さなんて関係ない。高校卒業という肩書きだけを欲する保護者が入れる高校だよ。筑紫君みたいな生徒は珍しい。ん?この説明は学校説明会の時話しているよ。聞いてなかったのかい?」


聞いてねぇよ……。
お袋、俺、とんでもない学校に入ったっぽい。


「筑紫君、勉強よりどの数字が当たると思う?」


先公がロ○シックスって、夢を買ってるなぁ。なぁ、公務員。仕事しろよ。勉強を教える仕事しろよ。


「先公、この漢字なんて読むの?」
「虎視眈々」
「コレは?」
「矛盾」
「こーれーはー?」
「因果応報……筑紫君、読みをちゃんと書きなさい。そして意味を調べなさい」
「聞いた方が早い」
「身につかないよ?」


ロ○シックスしてる先公に言われたくない気がした。教科書って読むと眠くなる。そして俺はまた寝ようとしたが


「2年のCグループが押し掛けてくるぞー!」
「教員全員至急避難!筑紫君頼んだ!」


先公は俺を何だと思っているんだ。
雨の日は職員室以外騒がしいから来てるのによ、職員室は先公達と俺だけだったのに。
縄張りを守る為に一暴れするか。


あぁ、平凡への道は果てしなく遠い。

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