短・中編置き場

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平凡な友達ゲットの夢は諦めてない。
俺はまだ探す!見つけだしてみせる!

と、意気込んで学校へ登校した。
現在無遅刻無欠席!やんちゃしていた中学の頃の俺が今の俺を見たら驚く、絶対に驚く!

で、登校して門を潜って朝やっぱり誰も居ないなーと思いつつ職員室に向かい歩いていると後ろから声がかかった。


「あ、あの!すいません!そこの長身黒髪で黒縁眼鏡の少しお洒落な平凡そうなお方!」
「俺か?!」


思わず振り向いた。
少しお洒落な平凡って俺が理想とする平凡だ!そう言って貰えると嬉しいさ倍増!振り向かない訳がない。


「そう!朝は寝坊せずに真面目に登校している偉い君だよ!」
「おぉおぉ!な、何だ?!」


俺、褒められてる?!
見ればコイツ、俺と同じくらいの身長で、黒髪、黒の瞳、そして制服を着崩さず髪の毛も少ししか遊んでいない……まさに平凡君!
俺が求めていた平凡君だ!外見はな!外見だけで騙されてちゃいけねぇ。外見だけで俺は2度も騙されてる。

それに煽てられて嬉しいがどうせ俺に付け入る隙を伺っているに違いない。


「君の名前は筑紫君で有っているのかな?校内でwolfに属してる最強で職員室登校してるっていう筑紫君で有ってる?」
「……だったら何だ?」


ほら、コイツもどうせ前の奴と同じだ。
俺を利用したいだけだろ。
何が目的だ?屋上の領地なら分けてやろうか。今はもう屋上に行かないし無くて良い領地だしな。

だが、力比べがしたいと言われたら逃げるぞ。全力で逃げるぞ。朝はちゃんとお袋が焼いたトーストとバナナで体力はモリモリに有るぞ。


「僕も職員室登校をさせて下さい!」
「……は?」
「僕も職員室登校をさせて下さい!」
「はぁ?!何が目的なんだよお前!職員室は渡さないからな!」


僕も職員室登校だぁ?!予想外すぎるわ!
領地か?俺の砦の職員室は渡さない!絶対に渡さん!


「目的は、抜けたいんです」
「は?」
「俺、こんな学校だったなんて知らなくって、一応グループに入ってるし、喧嘩をしても隅に逃げるだけで、毎日が怖いんだ」
「……で?」
「僕も職員室登校をさせて欲しいんです!グループを抜けても僕は空気だから問題は無いです!怖い毎日から抜け出したいんです!お願いします!」


あー、うん、なる程なる程…………

うぅぅぅぅぅうるやっしゃぁぁぁぁぁあ!
全力でガッツポーズ!
居たぁぁぁぁあ!やっと巡り会えたぁぁぁぁ!俺が考えていた理想だと思われる暴力反対平和主義の平凡君がぁぁぁぁぁあ!


「な、なぁ、俺は怖くないのか?」
「筑紫君は怖くない。平凡な姿だし強いからあんなグループに居るより心強くて安心する」


ぶわっはっ!
泣くな俺!泣くな!
平凡と言われて感激して泣くな俺!


「駄目かな……僕弱いし、筑紫君を盾にしようとしているし、嫌な奴だよね、馴れ馴れしくしてごめん」
「あ、いや!良い!大丈夫だ!」
「本当に?!」
「あぁ!」


力強く返事をすると平凡君は「良かったぁ」とホッと一息吐いて笑った。

やっしゃぁぁあ!夢の平凡友人1号ゲットリーチ!後は1日勉強を見合ったり話したり和気あいあいとさせて放課後一緒に途中まででも良いから帰れたら友達確定だ。

今度は足になったり奢ったりしないからな!
あ、でも一応奴の家も確かめないといけないよな、道端みたいな極道一家でしたーなんてそんな落ちは悲しすぎる。


「悪い!この質問に答えてくれ!答えにっては職員室登校を認められない!」
「な、何?」


平凡君は息を飲んだ。
お願いだ、平凡な家庭で有ってくれ!


「家族構成及び親の職業は?!出来れば詳しく!」
「えっ家族構成と職業?!っ、とー、父さんと母さんとペットの犬のダルビッシュ。僕一人っ子なんだ。父さんは事務仕事をしていて母さんはスーパーのパートをしてる」
「よし、合格だ」
「やった!」


あぁ夢だった平凡君にやっと巡り会えた!
これで原田とボスとおさらばだ!

このまま平凡君と職員室に向かった。
先公にも言えるぜ!この学校に平凡君は居たと!証拠がコレだと!友達が出来たと!

先公はどう思うだろ?
喜んでくれっかな?

職員室の前に着くと扉の前で待って貰った。
そして俺が呼んだら入ってくれと言った。
平凡君は笑顔で「うん、わかった」と返事をしてくれた。

少し待たせてごめん!
だが、俺は先公を驚かせたいんだ!

先に職員室に入り先公に挨拶して話した。
俺に友達が出来たと!平凡君なんだと!
だけど先公の顔は険しい。
毎回険しいけどさ、また俺が悪い奴に絡まれたと思っているのか?
心配症だなぁ!全然悪い気はしない!


「その子の名前は?」
「えーと、何だっけ?聞いてなかったけど扉の前で待たせてるから入って貰うな!そいつも職員室登校したいって言ってたし紹介しないとな!」
「待て筑紫君!入れる前に名前と学年を聞いて「失礼しまぁぁあす!会いたかったぜぇえなーおーとさぁぁぁぁあん!」うわぁぁぁあ!お前かぁぁぁぁあ!筑紫君の裏切り者ぉぉぉぉぉお!」
「直人さん逃げんなよぉ、待てやごらぁぁぁあ!」


……俺、裏切った覚え無いんだけど。
先公は逃げてどっか行ったし、平凡君は言葉遣い荒くなって先公を追いかけて行ったし。俺、また利用された系?


「利用されたな。奴はあの先生の従兄弟の息子さんで先生が大好きで仕方無い。先生は奴からの好意に困り果てて毎回逃げている。奴が職員室に来ると監視カメラに映るから毎回どっかに逃げていたが今回は捕まるかな」


どこから俺は突っ込めば良いんだ?
二度有ることは三度有るを体感してしまった?追われてる?え、またホモ?ホモなの?
つか、


「筑紫、今日こそは屋上に来て貰うからな」
「お断りします!」


原田いつの間に横に居たんだ。
俺は職員室の窓から(三階から)飛び降り全力で走り出し原田との追いかけっこを朝からする事になった。

勿論俺は振りきり逃げ切ったが放課後まで先公が職員室に戻ってくることは無かった……。


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