暮古月番外編

□羽山準の処女消失
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強先輩は卒業して羽山達が2年になったて三ヶ月たった頃の話。

……………………

「羽山先輩は学生限定教室制服エッチをしてないって事ですか?!」
「ぶふぅー!」


お昼、香取と金沢先輩と後輩の増田君と人吉君で食べていた時の事。
何故か俺と強先輩の話になってこんな事を言われたら飲んでいたお茶を吹いてしまった。


「おい、大丈夫か?」
「図星なんですね」
「香取先輩はしてそうですね」


上から金沢先輩、増田君、人吉君。
後輩よ、そんな話を食事中にするもんじゃない。


「ふふふー部屋では勿論の事ー教室、トイレ、会議室、保健室、視聴覚室、図書室でーしたよーあとー生徒会室もねー」
「お盛んですね」
「秀吉が盛んなんだよーそれにー学生中にしか出来ないからってー付き合わされるのー」
「だけど付き合う香取先輩も香取先輩ですよね」
「まーねー」


だからお前ら食事中にそんな話をするでない!そして香取も素直に答えるな!


「お前達ストップ。純情な羽山先輩が真っ赤で可哀想だろ」
「わー羽山先輩真っ赤ー!」
「慣れてないだけだ!」


もう、金沢先輩まで俺をおちょくるなよ。
でも、強先輩はしたかったのかな……俺達学生の時はキス止まりで抱きしめて貰うだけで満足しちゃったし。
過去に押し倒された事は有るけど……。


.
.
.


「強先輩、卒業する前に教室エッチしたかったですか?」
『ぶほぉ!』


学校と部活が終わり寮の部屋で強先輩に電話して単刀直入に聞いてみたら電話の向こうの強先輩がお昼の俺と同様何か吹いたみたいだ。晩ご飯中だったのか?


『けほっ、けほっ……どうしたんだ急に』
「ちょっと話題になりまして、学生の時しか出来ないから先輩したかったのかなぁって」
『……』


その無言は肯定ですよね。
したかったのか!俺だけキスと密着だけで満足していたと言うんですね!
それに、先輩は受験生だったし、会えない分デートは貴重だし、大学も忙しそうだし、ばたばたしてたし、俺は寮の門限も有るし。


はい、そうです。
まだ先輩と至っていません。


『否定はしない』
「うぅっ」
『でも、準を大切にしたいから』


あぁ、なんて優しいんだ先輩!


『なんて、格好付けたいが本音は怖かったんだ。嫌われるんじゃないかって』
「え?」
『また無理矢理押し倒す様な事をしたら怖がってしまうだろうから』


先輩は過去に無理矢理ヤろうとした事が有る。それを気にして我慢していた、と言うことか。


「……先輩、明日学校に忍び込めますか?」
『えぇ?!』
「俺の初めて、あげれるか解らないけどっ、」
『無理するな。周りに言われたからっと言って無理してするもんじゃない』
「でも、今のままだと俺が卒業してからになりますよ?」
『それは困るな』
「コレをきっかけに……も、貰って、くだ、くださぃ」
『その言葉、明日、是非とも俺に面と向かって言ってくれ』
「うぅ……明日、2年参組の教室で待ってます!」
『わかった』
「で、では!」 


電話を切って改めて自分の心臓が尋常じゃないくらいバクバク鳴っているのに気づいた。
それに手も震えてるし。手汗もかいてる。

言っちゃった。
俺、言っちゃったよ!


「ふふふーきーちゃった」


さらに跳ね上がった俺の心臓と肩。
恐る恐る振り向けば扉の隙間からこちらを覗くニマニマ顔の香取が居た。
うわぁとんでもない奴に聞かれた!


「元部長がー門を潜れる様にー手配してあげるー」
「っ、頼む」
「鍵も用意してあげるからー」
「……見返りは?」
「情事の感想」
「うわぁぁそんなのが良いのかよ!」
「じゃー準のキス」
「ぅ、んんっ」
「ごちそうさまー」


感想もイヤだがキスで、しかも解ったと言ってないのにキスしやがって!
ムカつく!ムカつくけど話を聞いていた香取しか頼めない!


「明日、お願いします」
「任せてー!あ、そーそー!ローションとー着替えとータオルとー軟膏とー痛み止めを持って行ったほーがいーよ」
「わ、わかった」
「初めてだとー色々痛いからねー床とか椅子とか机堅いしー始めてが教室もハードル高いと思ーけどー愛でカバーしてねー」
「……」
「それとー水とー換気を忘れ無いようにねー」


改めて、恥ずかしいと思った。
ドキドキ止まらないし、震えも止まらない。
俺、怖いのかな。でも、強先輩と繋がってみたいとも思えるし。

自分の心臓の音を聞いていると何故か香取がてきぱきと用意してくれていた。
助言だけでも助かるのに、やってくれるとは。


「顔真っ赤にして動かないしーかーわいー」
「……」
「落ち着くようにー何か焚いて寝よーか」


震える手を握って額を合わせる香取。
なんかもう優しさに涙が出そうになった。


「元部長ならー優しーし、大丈夫だよー」


強先輩の優しさを期待するしか無かった。


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