暮古月番外編

□香取の誕生日の日
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1月、香取もいる三学期が始まった。
と、言うことで。


「誕生日おめでとうー!」


パンパンパン!
香取が部室に入ったとたんのクラッカー。

開けた香取は本人は目をパチクリさせて固まったから驚いたのかな?
だったら嬉しいな。


「入った!入った!」
「えっ、あーうん」
「改めておめでとう!」
「……ありがとー」


さっさと椅子に座らせてケーキを目の前に置いて言えば香取は困った笑みをした。

鞄を置いて蝋燭に火を灯して香取が吹くと拍手パチパチパチー!

いやーめでたい!めでたい!


ケーキを切り分けて皿の上に置いてみんなに配ってさぁいただきまーす!


「こら!お前はケーキが食べたいだけか?」
「すいません。おいしそうなケーキをずっと目の前でお預けをされていたら我慢が…涎が……」
「ふふー羽山らしー」
「食い地張るな」
「ケーキは逃げないYO!」


そう言われても目の前に大好物を置かれて待てをされた犬の気持ちが解るくらい我慢したんだ。
美味しそうだもの、ショートケーキ。


「香取が食べてから僕達は食べれるんだ」
「動物のー習性みたーい」
「よし、香取が食べる前にプレゼントを渡さないか?」
「niceidea!」
「のぉぉぉおん!」


俺は何時まで待てを強いられるんだ?!
香取へのプレゼントは用意したし、渡したいけど……目の前のケーキが、ケーキがぁぁぁあ!クリームとスポンジがパサつくぅぅう!


「羽山がー可哀そーだから、一口食べるねー」
「香取も羽山に甘いな」
「確かに。反応を楽しめば良いのに」


金沢先輩と鶴間先輩は悪魔ですか?


「いただきまーす!んっ、美味しー!羽山ーお食べーあーん」
「あー…」


んっ、美味しい!
口に入ったケーキは待てをした分美味かった!


「松下先輩に送ろっと」
「何をですか?」
「香取とのラブラブあーん写真」


ドーンと見せられた携帯の画面にはあーんしてる香取と喜んで口に含んでる俺。
うわぁぁあその写真を強先輩が見たらヤバいよ。またシャーペン折るよ。問いつめられるよ。俺ピンチだよ。


「先輩止め「そーしん!」うわぁぁぁあ!」



送られてしまった!別に浮気したんじゃないのに罪悪感が!浮気じゃないから!浮気じゃないからぁぁぁぁあ!


「羽山ーもう一口どーぞ」
「いや、もういいから!」
「食べてーくれないのー?」


そ、そんな悲しげな顔で俺を見るなよ。
俺は、俺はぁあ!


「食べます」
「やったー!あーん!」
「あーん」


負けました。香取のイケメンの悲しげな垂れた猫耳(幻覚)に負けました。
喜ぶなよ香取。
でもケーキは美味いぜ。


「あー、指にクリームが付いちゃったー…舐めて、羽山?」
「はぁあ?!」


ちょっ、流石に指に付いたクリームを舐めるのは無理だ!ティッシュで拭けよ!それか自分で舐めとってくれ!


「ほらーじゅんの好きなクリームだよー?」
「香取っ、」
「舐めて、じゅんちゃん?」


だ、駄目だ、負けるな自分。
色っぽい香取に負けるな!香取フェロモンと、懐かしい呼び方をされても、香取のクリームを付けたクリームが俺の唇に、いやらしく、ふ、ふれて、もぉ、


「ふぅっ、んっ……、」
「いー子だねー美味しー?」
「んぁっ、おいちぃっ、」
「そー、じゃあもっとあげ「香取ストォォォォオップ!」えーこれからが楽しいのにー」
「そんなもん僕達の前で見せるな!見せつけるな!橘を見ろよ!顔面真っ赤だ!」
「ほんとだー橘可愛いー!」
「羽山も流されずに耐えてくれ!」


そう言われても、負けてしまったもんは仕方ない。けど、俺が香取の指を舐めてる所を橘や先輩に見られたのか……うわぁぁぁあ最悪な黒歴史が出来てしまったぁぁぁあ!俺の忍耐無しぃぃぃい!


「さっきのエロいのも動画にして松下先輩に送ったから」
「え……」
「そろそろ、来るんじゃないかな?」


う、嘘だろ、鬼般若の顔面でこっちに向かってくる先輩が想像出来るんだけど。
いや、でも話せば解ってくれるはず!
これは香取の誕生日会だから!
香取のお願いや命令は絶対的な?!


「大丈夫だよー羽山からのプレゼントはー絶対服従権でしょー?」
「そんなわけあるか!ちゃんとプレゼントは用意してるから!」
「本当ー?何ー?」
「こ、コレ」
「何々ー?」
「ピアス。ペンギンの…、見つけるの苦労したんだからな」
「わぁあ!ありがとー!って、事でー、元部長ー!羽山持って行っていーよ!」
「え?」


香取の目線の先を見ればタイミング良く開かれた扉。現れるは笑って…いや、目だけ笑ってない強先輩。


「香取、誕生日おめでとう。コレは俺からだ」
「元部長ありがとー」
「では準を持って行く。鶴間、写真と動画ありがとな」
「いえいえ」
「行くぞ、準」


俺にはイヤだと言いたいけど言えない雰囲気で。ケーキ、全部食べてないのに。行くぞと言われても俺は俵抱きに担がれてるし。鞄もちゃっかり強先輩が持ってるし。


「最近誰かさんの所為でシャーペンの消費が激しいんだ」
「へ、へえー」
「今さっきも一本折ってしまってな」
「柔なシャーペンなんですねー」
「あぁ、丈夫なシャーペンが欲しいよ」
「一緒に探しにいきませんかー」
「その前に尻叩きの刑だ」
「ごめんなさぁぁぁぁい!許してぇぇえ!」


香取の誕生日だというのに、俺のこの日は強先輩に許しを請うたり香取にした事を強先輩にもしたり尻叩きは逃れられたが恥ずかしい思いをさせられたし半分泣いた。

香取め、解ってながらやりやがって、絶対に許さないからな!


−香取の誕生日会End−
(13.03.24)

オマケ

「一佐、この写真と動画はどういう事かな?」
「羽山で遊んだだけだよー?」
「そう見えないんだけど。ちゃんと目を合わせて言ってごらん?」
「楽しんだだけだからー!浮気じゃなーい!」
「素直にカメラ君が好きだと言えばいいのに」
「好きなのは秀吉だからー!」
「僕も一佐が好きだよ」
「もー……」


−End−


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