暮古月番外編

□金沢実留の休日2
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太陽が照りつけ外で掃除や水まきをしたらそりゃあ汗はかくさ。
現に作務衣も汗を吸って背中と首回りの色が変わっていた。

こんな姿で瑰侠達の前に出たのは失礼だったと反省した。

けれども!


廊下をダッシュで走り抜けアイツ等がいる客間へ急ぎ勢いよく障子を開けた。


「お前らぁぁぁぁあ!」
「あっ、来た」
「あれー?せんぱーい着替え置いてたでしょー?」
「馬鹿野郎!誰がこんなの着るか!」


今の僕は腰にタオルを巻いてるだけだ。
そして暢気に茶を啜る瑰侠に全力投球で投げ捨てた着替えは香取が軽々とキャッチした。


女性の白色下着にシンプルにフリルが入ったブラウス、黒のタイトスカート、ベージュのストッキング。オマケに眼鏡。


「悪質な悪戯過ぎるだろ!」
「何言ってるの、それが君への用事だ」
「は?」


香取が障子を閉めて俺にプリント1枚渡す。
プリントを見れば
“神楽月女学園教員用制服案”
がでかでかと書かれていた。


「……コレと僕に何の共通点が?」
「無いよ」


イラッ。
瑰侠を殴りたい是非とも殴りたい。
代わりにプリントをグシャッと握りつぶした。


「君にはマネキンになって貰いたい」
「断る」
「大利さんには許可を得ている」
「は?大利さんにも関係ないだろコレ」
「君の借金3万円分だけ僕達が払う事になった」


おい大利。何故勝手にそんな事を決めた。


「3万円分、マネキンをすれば良いだけだ。ほら着なよ」
「待て待て待て、勝手に進むな」
「着替えてる所は見ないから。一佐、金沢君が逃げないように外で待ってて」
「はーい」


障子の外に香取が待機。
瑰侠から渡させる服。


「3万円」
「……せめて下着を男物にしてくれ」
「そう言うと思ってね。はい、ブーメラン」
「虐めだ!虐めだぁぁぁあ!こんなの僕じゃなくて準とかにしろよ!僕がするキャラじゃなぁぁぁあい!」
「褌が良かったの?」
「どっちもお断りだ!」
「あぁ、普段ノーパン派?」
「瑰侠、キャラ崩壊してる。お願いだからお前はボケないでくれよ」
「君も大概崩壊してるからね」


ズイッと渡される女物。
どうしても嫌で受け取らなかったら瑰侠が立ち上がった。


「着ないなら無理矢理でも着せるまで」
「止めろ!止めろ!」
「軟筋剤を投与して着せる手も有るけど使っても良い?」
「ヒッ!」


ゴム手袋を装着し注射器を出した瑰侠に思わず後退りした。


「さぁ、投与されるか自分で着替えるか選べ」
「着る!自分で着る!」


そして投げ渡された女物。
俺は諦めて着替えるしか無かった。


「……なぁ、サイズが合ってるってどういう事だ?」
「元々マネキンは君って決まってたから」
「そーですか」


着てみた感想、気持ち悪い。
何だよコレ、スースーするし、足はまとわりついてるみたいで気持ち悪い。それにフリル邪魔だ。

ジーと見る瑰侠。


「もう良いだろ?」
「……一佐、金沢君のスネ毛剃って。それと例の物も着けて」
「はーい」
「はぁぁあ?!」


襖からカミソリとジェルを手に持った香取現る!そして逃げようとしたけどスカートの幅が短くて走りにくく簡単に倒されてマウントを取られて暴れたら薬、と脅されて大人しくストッキングを脱がされて剃られてしまった。


「はい、でーきた!いやー先輩、まさか女物の下着をー」
「煩い!言うな!」


気持ち悪い気持ち悪い!
足がツルツルするって言うかあぁもう気持ち悪い!

またストッキングを履かされて頭に何か着けられたと思ったら肩から長い髪の毛が。


「うわぁぁあ!」
「先輩、それヅラの髪の毛だよー」
「えっ、そうなのか?」
「おばけじゃなーいよ」
「そっ、そっか、よかっ……っておい!」 


鬘かよ!
確かに僕の髪の毛に似た色をしてる。
クルクルフワフワしてる。うわぁ、完璧女装だ。


「はい、眼鏡着けてこのヒール履いてー」
「……」
「うん、上出来。女教師の出来上がり」


どこのAV女優なんだよ。
上のスーツは1つボタン。ブラウスは胸元2つくらい開けてるし。つかさ、女物だから肩身が狭い。やっぱり男と女と違って肩キツイ。それに、腰もキツイ。


「もう良いだろ」
「上着、学園のものと似たデザインの出して。それとブラウスフリル無しで丸襟も。スカートはコレより短いやつ」
「はーい」
「まだ有るのかよぉぉお!」
「それだけで3万円と言うの?一円もなってない」


瑰侠の目は完全に制服案を考える真剣な目つきになっていた。

あぁ、これはきっと納得行くまでマネキンを解放させてくれないだろうな。

香取に渡されて再び着替える。


「なぁ、僕じゃなくて一佐にさせないのか?」
「一佐だと童顔で年齢が合わない。僕だと男だしね。カメラ君も童顔低身長。松下先輩は論外。じゃあ金沢君でいっか。って事になった」


納得出来ないんですけど!
僕男!身長高い!無理有るだろ!


「大丈夫。ギリギリセーフだから。うーん、スカート短すぎるな。ボタンの所レースが有るブラウス有ったかな?」
「有るよー」
「それと靴はヒールが短いやつ。高いやつは品がない」
「りょーかーい」
「スカートは膝上15センチかな。上着のデザインは型はシングルでダーツ有り。ラペルに学園のバッチを着けよう」
「はーい」


もう瑰侠が真面目に考える余りにもう止めろと言えなくなってしまった。


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