清月番外編

□悪魔の囁きに負けました。
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朝、坂木がトイレに入るのを見た。
ついでにトイレ覗くと坂木は居なくて一室だけ閉まっていた。
きっと、そこに坂木が居るんだろう。


「坂木、おはよう」
「おはよう……って、委員長?!」


やっぱり居た。
そして僕が此処に来たのに驚いたのか動揺してる。


「朝からトイレの個室で頑張ってるの?」
「あははは……昨日の晩、少し消費期限が過ぎてた物を食べたからお腹が当たってちょっと朝からキてる」


それは大変だ。


「大丈夫?」
「い、委員長、保健室から下痢止めの薬貰ってきてくれない?」
「良いよ。授業に遅れても先生に言っておくからゆっくりしてね」


僕は慌てて保健室に向かった。

そして着くとノックして直ぐに開ける。


「伴場先生!お薬下さい!」
「何の薬だよ」
「下痢止めの薬。友達がお腹を下したみたいなんです」
「友達……ってお前の片思いの相手か?」
「だったらなんですか?」
「ふーん、そうかそうか」


ニタニタ笑う伴場先生。
僕、この先生とは中学からの知り合いで、高校生になってからは熱を出したときよくお世話になっている。

正直、この先生は好きではない。


「格好悪いな。朝からトイレとお友達なんてな」
「先生だって朝からトイレとお友達なんてよくあるでしょ」
「そうだな。誰かさんがヤるだけやって後処理ケアーもせずに帰るからな」
「……」
「そう睨むなって。ほれ、薬」


投げ渡されて掴んだ薬。
見ればその薬の色が何か妙だった。
白色と言えば白色かもしれないが、白色と比べると仄かに桜色をしている気がする。


「コレ、本当に下痢止め?」
「び・や・く」
「ちゃんと薬下さい」
「やーだね」


こんの先公キツくお仕……落ち着け自分、冷静になれ。


「何故、この薬を?」
「お前の恋愛の手助け」
「余計なお世話です。それに、友達はお腹を下して苦しんでいるんです」
「は、そんなの出してしまえば直ぐに治まる。それに、本当に腹を下しているとは限らない」
「さ……友達はあなたと違う」
「ほぉ、そうかそうか」


本当、ムカツク。
自分で下痢止めの薬を探した方が早い。
棚を覗いて下痢止めは無いか探す。
早く坂木に渡して楽になって貰わないと。


「薬、2錠飲めば飛ぶほど強力らしいぞ?」
「!」
「飛ばして食っちまえば?」


ニタニタ笑う伴場先生の顔は楽しげでさらに僕を苛つかせるし……嫌な悪魔の囁きだ。


「先ずは1錠飲ませて、此処に連れて来い。そして此処で解熱剤と称して飲ませる。1錠だけでも凄い効果らしいから鈍い友達なら熱程度に思うんじゃないか?」


……確かに坂木なら媚薬だと気づかずに熱で苦しいと思うだろう。
坂木って性に関しては少し鈍いところがある。


「ベッド、貸すぞ?俺、退室するし」


……あぁ、クソッ。
自分が欲に忠実なのが嫌になる。
しかも相手が坂木なら尚更。


「……見返りは?」
「お友達とした事を俺にもしろ」
「それだけ?」
「気絶するほど激しく抱け」
「……解った」


坂木、ごめんね。
悪魔から薬を買っちゃった。

.
.
.

「坂木、今の声……先生!坂木を保健室に連れに行ってきます!」


どうしよう。
心配しないといけないのに口角が上がってしまう。
坂木、凄く辛くて苦しそうなのにエロいのが悪い。
扇情的に僕を欲情させる坂木が悪い。


保健室に着いてベッドに寝かせる時にネクタイやボタンを外したんだけど坂木の汗が妙に艶やかで今すぐ襲いたい衝動に駆られるけど我慢だ。


「坂木、コレ、飲んで。解熱剤で直ぐ眠れるから」


眠るというかぶっ飛ぶんだけどね。
飲んでから少し時間が要するし、


「鞄とか持ってくるから待ってて」


教室に行って戻ってくる頃には薬が回っているだろう。
そうすれば……


「ンッ、はぁっ、はぁっ……っ、くっ、うぅ、」
「……坂木?」
「ッ!」


ほら、出来上がってる。
火照ってる体に潤んだ瞳。
だけど、僕が来る前に抜いちゃってるね。


「い、いんっ、ちょぅ…いんちょぅ、」


虚ろな目で僕に助けを求めるように伸ばした手。
その手で手淫してたの?
白いの、着いてるよ。

でも、助けてあげる。
時は熟した。

差し伸べられた手を握り返せば引き込まれる。

もう待てないんだね。

可愛い司。
ぶっ飛んでいても可愛がってあげる。


………………
悪魔の囁きに負けました。
−End−



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