清月番外編

□体育祭の一部の話。
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清月学園の体育祭が始まって、俺は午前の最後から3番目の玉入れと午後の最後から3番目の綱引きのみなのでそれ以外はクラスメイト(主に委員長を)応援したり座って水分補給して座りながらボーと眺めていた。


「さーかき」
「あ、委員長、お疲れ様」
「貰って良い?」
「良いよ」


委員長は俺のスポドリを取って飲んだ。
それを見て俺は何を思ったのか、


「間接キスだ、ラッキーって思ってたりする?」
「……ゴクン」


吹き出すのを我慢して飲み込んだ委員長。
喉が鳴るほど動揺したのか?


「坂木、さすがにもう思わないよ」
「あれ?そうなの?」
「そう思ったのは坂木のことが好きになって初めて飲みかけを貰った時だけ。だけど坂木は他の人とも飲み回しを普通にするから特別だとは思わなくなった」
「へぇ」
「坂木は間接キスできてラッキーなんて思わないでしょ」
「うん、思わない」


小学校の時から男友達と飲み回しはしてたし、(小、中の)彼女は彼女から頂戴って言われることが多くて寧ろあげてたし。

別に俺からくれって言ったこと無いんだよな。


「当時の僕は緊張しながら言ったのを覚えてるよ」
「へー」


委員長も緊張して言うことも有るんだな。
俺、気づかなかった。


「あ、次借り物競走だな」
「観るの?」
「観る。会計が茶髪の人を引いたら俺を連れて行くって言ってたから」
「いつの間に会計と話してたの?」
「委員長を応援してる時に。眼鏡の人を引いたら委員長を連れて走るって言ってた」
「行かない。絶対に行かない。それに行かせない」
「委員長、会計は同じチームだから協力しろよ」


本当、委員長って生徒会の人が嫌いというか敵視してるよな。
(※ただたんに会計が坂木と仲良くしているのが気に食わないだけ)


「おっ、会計走って引いたな」
「保健の先生か学園長を引けば良いのに」
「うわ、連れて行きずらい人材を書いてるのか?」
「うん。後は女の人とか生徒会の会長とか髪が長い人とか色々」
「委員長が考えたのか?」
「生徒会のみんなで決めたよ」


考える方も大変だっただろうな。
と、話し込んでると会計がこちらにやってきた。


「坂木!東を借りる!」
「え、僕?!」
「いってらっしゃーい」
「ちょっ、嘘ぉ?!」 


委員長は会計に姫様抱っこされて行ってしまった。
委員長の抵抗を難ともせずに走る会計が逞しい。
流石剣道部員のエースだ。
そして会計の親衛隊がキャーキャー羨ましい!ずるいっ!と怒ってる。
委員長に牽制、しないよな?
委員長を牽制したら風紀委員を全員敵に回すことになるぞ。


「あー、散々だった」
「あははは、大きな縁眼鏡と言ったら確かに委員長だよな」
「大きな縁って誰が付け足したんだか」
「会長かもよ。自分が引いたら委員長を選びやすいようにとか」
「……確かに、決めたのは会長と庶務が付き合う前のあの時だったけど、迷惑だ」
「まぁまぁ。お、次は噂の会長と庶務先輩だ」


よく見れば会長と庶務先輩の頭に巻いている鉢巻きの色が違う。
チームは別なんだ。

何を引くんだろ?


「あ、会長は保健の先生だ」
「おぉ。兄弟で走るとか、名シーンになるな」
「あれ?庶務は1人で走ってる」
「庶務の紙を引いたんだろ」


『はい、会長が引いたのは保健の先生です!合格!』


キャーキャー騒ぐ親衛隊。
兄弟で麗しい!格好いい!キャーキャー黄色い声が凄いし来賓の女の人からの声も凄い。幼稚園の生徒や先生も見に来ているが女の人は全員見とれていた。
学園を卒業したらアイドルになれよ会長。


『あれ?庶務は1人ですか?どれどれ…………“宇宙人”』


生徒一同ザワメく。
借り物競走に宇宙人。
無茶ぶりなお題で庶務先輩は1人で行った。
棄権すると言うことだ。

と、誰もが思った。

けれど、庶務先輩はマイクを持って


『実は僕、地球を偵察にきた┛°≡¥Mt∴ℵ§♯星人なんです』


生徒一同沈黙。
会長なんか顔を青ざめさせている。

まさか、庶務先輩が変人電波宇宙人だと言われている由来って、コレ?


『え、しょ、庶務さん?今、なんて?』
『だから、僕は←×>‰$rδ*Τ∋Α星人です』


司会も狼狽えて会長を見ている。
会長は悩んだ末、手で丸を出した。
え、ちょっ、合格かよ?!

…………こうして、庶務先輩が宇宙人説がさらに濃くなった。
嘘か本当かは解らないが、本当に宇宙人だとしても餅助が居るから嘘だと断言出来ないんだよな……。

変な空気になる中、他の生徒の借り物審査を行って借り物競争は終わった。


俺の活躍は無いぞ。
玉入れと綱引きだからな。
それなりに頑張って手が綱臭くなっただけ。

チームは会長が属してるチームの優勝で幕が下りた。


−清月学園体育祭の一部の話−
終わり。


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