清月番外編
□この男、手遅れである。
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※高1、バレンタイン何処行ったの後の話。
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バレンタイン当日は渡せなかったけど、遅れて渡しても坂木なら受け取ってくれるよね。
媚薬入のチョコだけど。
普通のチョコを渡すか悩んだよ。
でも、僕はあえて媚薬入のチョコを渡すことにした。
媚薬に溺れた坂木とベッドインする為に。
完全に僕の性欲を満たすためだけど……此処だけの話、坂木との情事、癖になってるんだよね。
止めたくても月に5回はしたい。
だから今回も媚薬に溺れて飛んでる坂木を襲います。
「坂木、あげる」
「何?」
「チョコ。バレンタインの時渡せなかったから」
「へぇ、この学園にも友チョコを渡す習慣が有るんだな。女子だけだと思ってた」
よし、チョコは受け取ってもらえた。
問題は坂木が何時食べるか。
今?お昼前?お昼食べた後?部活中?寮に戻ってから?
「ありがとう委員長」
フワッと笑顔を向ける坂木にグサァァアと僕の胸に坂木の可愛い笑顔天使だ襲いたい欲望の剣と可愛い笑顔で天使の坂木に媚薬入りチョコを渡してしまった罪悪感の剣が刺さった。
これは毎回刺さるんだ。
刺さって苦しんでも後で快楽天国だから今生殺し状態でも耐えるに限る。
「市販?手作り?」
「市販のを溶かして固めただけだよ」
「わざわざ溶かして?」
「板のままじゃおかしいでしょ?」
「板のままでもくれたら嬉しいよ?」
坂木ってただで何でも貰えたら喜ぶよね。
「少し手間をかけた愛情だよ」
「へぇ……おっ、ピラミッド型?!しかもココアパウダー掛かってる!」
……溶かしたチョコを型から外す際に指紋でベタベタなのは見栄え的に嫌だろうからわざとココアパウダーを掛けたなんて言えない。
「いただきまーす……ん、美味しい!」
「それは良かった」
あーあ、今食べちゃった。
朝から食べちゃったよ坂木。
授業どうするの受けれなくなるよ。
「残りは学校が終わったら食べるな」
「え?なんで今1つだけ食べたの?」
一粒じゃ効果はそんなに出ないはずだ。
何個も食べてこそ効果を発揮するチョコなのだから。
って、坂木は媚薬入りチョコって知らないんだった、味見か何かだったのかな?
「ちょっとした周りへの自慢?」
「えっ?」
「みんな、羨ましそうに見てるから、つい」
周りを見れば妬んでいる視線が僕達に向かっていた。
小言はホモ充がとか今頃バレンタインかよとか委員長の坂木贔屓とかそんな感じだった。
「ちょっとした優越感、かな」
へへっと笑う坂木に僕の理性は崩れた。
押し倒してキスしてやろうと思ったがクラスメイトが察したのか何やら僕に話を吹っ掛けてきたり腕を掴んで離さなかった。
何故止める!
坂木は僕に襲って欲しいと言っているのに!
止められてチャイムが鳴って授業開始。
僕の舌打ちは坂木に聞こえない程度でクラスメイトは落ち着いてくれっ!と嘆いていた。
僕は常に冷静だ。
あぁ、坂木を襲いたい。
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僕の理性は授業中に建て直され普通に戻ってしまった。
そして昼休み中なんか坂木に、
「委員長、今日温い?」
「いや?昨日と変わらずに寒い方だと思うけど?」
「あのチョコを食べたからか?委員長、あのチョコどこの?」
どうやら何時もはカイロ必須らしいが今日はカイロを使わずに済んで寒いと感じなかったそうだ。
あの媚薬入りチョコ、寒がりな坂木の役に立ってしまった。
だけどあのチョコは媚薬入りで保健の先生から貰いましたなんて言えない。
「ご、極秘です」
「えーじゃあさ、お金払うから買ってきて!」
食べ過ぎて媚薬慣れしたらどうしてくれる?!
でも、可愛い坂木が僕に頼んでいる。
うぅん、でも、慣れられると困る。
「ごめん、バレンタイン限定だったと思うから買えないと思う」
「えぇーそんなぁ」
ごめん坂木。
今年の冬も耐えてくれ。
で、結局坂木はあのチョコを朝と昼に食べる事にしたそうで僕の坂木性欲ビックバン計画は失敗。
喜んでもらえたのは嬉しいけど……残念極まりない。
結局別の日に坂木が僕の部屋に来た時に薬を砕いて飲み物に混ぜて理性を吹っ飛ばして襲いました。
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この男、手遅れである。
終わり。