清月番外編

□司とデートなのじゃ!
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本日、我はとっても機嫌が良い。
司が休みの日、朝から司と外出をしている。


「餅助、此処がモールって所だ」
「おおぅ……デカイのぉ」


司が住む学園とやらも大きくて広いが此処も中々デカイ建物である。
駅やら電車も凄かったがこの建物も凄いのぉ。

立ち止まって見上げていたが司が手を引いて行くぞと言うから着いて行く。

今日の我はずっと人型を維持して過ごすのじゃ。それは何故かと言うと兎の姿では入ってはならぬ場所と司が言っていた。モールとやらの場所に連れてこられたのは我に選ばせる為らしいぞ。何を選ぶのかは聞いてないがな。


「おおぅ、中は広くて賑やかでワクワクするの」
「余計なものは買わないからな」


つまり、我は司とデートなのだ!
司から誘ってくれたデート!お付き合い!


「餅君!俺がたくさーん買ってあげるからね!」
「服とか食べ物は全部会計(尾車実智)持ちだから欲しい物はなるべく会計に頼めよ」


まぁ、司と2人っきりでないのが不満だが、実智の他に黒兎(鈴村)も居るから司と2人っきりになれる事が多いはずだと我は思っおる。司と手をずっと握っていれば離れまい!


「餅君見てみて!可愛いお洋服が有るよ!行こっ!」
「わ、我は司と一緒にぃぃぃぃぃい!」


実智のあほぉ!我は司とデートをしたかったのだ!
司も司だ!我が実智に連れていかれると解って直ぐに手を離しよった!手を振りながら見送って馬鹿者ぉぉお!

連れられて我は実智が好きなフリフリやブリブリ、プリプリした洋服ばかり何着も着せられる。
動きづらい服より動き易い服の方が良いのだが、実智がニコニコと嬉し楽しそうにするものだから文句が言えぬ。


「おい、そんな服よりこっちの服とかで良いって」


そう言って司が持ってきたのはシンプルな無地の服。フリフリブリブリプリプリな服ばかり着せられて新鮮に思えたわ。


「はぁ?!そんな服ダメダメ!しかもセールの服なんて論外!」
「餅助の服だぞ?そんな高価な服を買うのおかしいだろ」
「おかしくない!」
「この服で良いんじゃないか?」


実智と司が言い争っていた間に黒兎が入った。
まさか黒兎まで我の服を選んでいたとは意外じゃ。


「鈴ちゃん……悪くない!」
「コスプレみたいだが、会計が選ぶのよりはマシか」
「俺のセンスに文句言うの?!」
「はいはい。喧嘩するな。似たようなのはあっちに有ったから見に行ってこい」


で、結局我は黒兎が選んだ苺人間になった。
司は目立つと言って反対しておったが迷子防止に良いと黒兎が説得してこの苺の服になった。
ズボンだから歩きやすいの。
帽子、鞄、靴もお揃いで苺じゃ。苺まみれじゃ。
着ていた服は袋の中で司が持っておる。


「餅助は白いから逆苺大福みたいだ」
「それは褒めておるのか?」
「褒めてる褒めてる。可愛い可愛い」


棒読みな気がするが司が褒めて可愛いと言ってくれたから良いとする。
我は可愛いのじゃ。もっと褒めよ。


「餅君!あの服も可愛くない?!」
「会計、先に目的の物を買う。お前に付き合っていたら疲れて買わずに帰りそうだからな」
「うぅ…そんなキツく言わなくても、いいでしょ……」
「ご、ごめん、キツく言ったつもりは無いんだ」
「坂木、俺のこと嫌い?」
「嫌いじゃないから泣くな、クレープ奢ってやるから!」
「本当に?」
「あぁ、だから泣くな」
「……うん」


司はハンカチを取り出して実智の目元を拭う。
……何だこのラブラブは。
何故我ではなく実智とラブラブしておるのじゃ!
黒兎、何故止めに入らぬって、馬鹿者!兎になっておる場合では無いだろう!


「うわぁあ鈴ちゃん!坂木ごめん!トイレで元に戻るまで待機しとくから先に行ってて!」
「元に戻ったら連絡してくれ。トイレで喧嘩とかするなよ」
「う、うん」


司は喧嘩とかのとかを強調してから我の手を握って実智と黒兎と別行動となった。
兎化して逆に自分の方へ向けさせるとは黒兎やるのぉ。

おかげで司と2人っきりになってデート再開じゃ!


「えーと、百均は何処だ?百均……」
「ひゃっきんとは何だ?」
「……お前のお椀とかお箸、コップを揃えられる場所」


ほぉ、ひゃっきんとはそういう場所なのか。
お椀と箸とコップが並ぶ店を想像して司と向かった。
その間、我に視線が沢山向けられた。その所為か司の歩くスピードは早かったの。腕が引っ張られながら歩いたぞ。


「司、早い」
「っ、ごめん」
「疲れた。抱っこ」
「うげっ、マジかよ」
「抱っこしないと泣き喚くぞ!!」
「わかった!抱っこするから泣き喚かないでくれ!」


素直でよろしい。
抱っこして貰うと楽で見晴らしが良いの。
それに、司の顔が近くて……我は好きだ。

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