平凡勇者と腐った魔王様

□ガーネット勇者と神子と腐魔王
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その後あの先公は学校を去った。しかも四人も。四人も体を売っていたのか勇者。流石に呆れてくる。


「お前、体を大事にしろって」
「煙草、お酒してない」
「もう体を重ねるな。只でさえ体堅いし体力もないのに」
「るさい!気持ちいいから良いだろ!」
「……」
「気持ちいい快楽大好き。太くて長いのを奥まで」
「黙れ」
「……お味噌汁の具は?」
「なめこだ」
「げっ!苦手ななめこ!」
「食えよ。ちゃんと食えよ!」
「うえぇ……」


と、言いつつ飲む勇者。
俺が注意してる意味有るのか?
何度言っても止めない自棄になってる勇者に……。

.
.
.


そからは通報を受けても遅れて行って、情事後に着くようになっていた。


「ティム」
「あぁ……魔王。もう終わったけど」
「酷い相手だな。ヤるだけやって後始末も処理も無しか」
「そうだな……魔王、抱っこ」
「はいはい」


情事後で放心状態の中俺の迎えを待つように居る勇者。
そして変わらず抱っこを強請る。
だが抱っこはしない負んぶだ。


「魔王、今回は強姦だった」
「は?!」
「勇者のくせに魔王に守られて惨めな奴だってさ」
「……」
「守られてたら未遂で終わってるよな」
「……そうだな」
「どうして止めてくれなかった?」
「……」
「前みたいに、止めてくれよ」


俺が止めに入る事が無くなってから勇者を犯しても風紀は来るのが遅く最後まで出来ると広まって勇者の体を狙う輩が増えていたのは俺の過ちだ。

背中でもうイヤだど啜り泣く勇者の声に俺に罪悪感が募る。

コイツは女みたいな顔で、細い体。美男子で狙われやすかったが俺が止めに入ることで向こうから襲うことは無かったのだと今回で知らされた。

俺がストッパーになっていた。
そして止めに入るのは何時も勇者から誘った者達ばかりだった事。
俺が止めることで勇者が安心していた事も。


「……ごめん、ちゃんと仕事する。だからお前も人を誘うなよ」
「それは無理」
「……」
「強姦は嫌。でも、気持ちいいのは好き」


駄目だコイツ。早く勇者を救ってくれる誰か募集中。
そして勇者を落とさなかった俺を誰か誉めてくれ。


そして祈りに祈って二日後の入学式。
勇者は二年に上がれず留年した。
そして!そして!そして!


「初めましてティム様!」
「……」
「お会いしたかったです!僕、ランスと申します!覚えて下さい!呼んで下さい!」
「お前、俺と寝たいの?」
「なっ、ティム様と添い寝を?!ぼ、僕なんかでいいのですか?!…あ、あの、子、子守歌を所望しても?」
「魔王!コイツと居ると調子狂う!」
「良かったじゃねぇか」


ニタニタしてしまう俺。

勇者の腕に抱きついて離さないランス。
二人とも初対面らしいが、


「ティム様いい匂い!何か香水でも?」
「いや、別に」
「生?!生ですか?!地の匂い?!」
「……」
「あ、ご、ごめんなさい、興奮し過ぎて、気持ち悪かったですね。ごめんなさい」
「……ふん」
「ティム様!待って!」
「来るな」
「それは無理なお願いです」
「はぁ?!」


……うん、まぁ、良いんじゃないか?
ちゃんと勇者の顔見てるし、勇者のリズムを崩して寄ってるし。

一日目、だしな。
明日も様子見て、それからランスの身の回りを調べておくか。


暢気に思って風紀の仕事して。


翌日からずっと不思議と勇者の淫らな通報がピタリと止んだ。その代わり、


「魔王、ランスがしつこい!」
「駄目ですよ!僕が居ないとティム様知らない人と寝るでしょう!」
「俺の自由だろ!」
「いいえ!駄目です!僕、ティム様が知らない人と寝てる所なんて……相手を殺したくなります」


ランスは少し怖い。本気で言っているからな。それから代わりに勇者の愚痴が増えたもんだ。でも、愚痴る割に嫌じゃなさそうなんだよな。味噌汁は変わらずに強請るけど。

そしてランスにも出す味噌汁は勇者が飲んでしまう。ランスは俺が作った味噌汁を睨んで飲まない。むしろ、


「ティム様、いつ魔王を倒す許可を頂けるのですか?」
「俺が卒業してから」
「憎いー!憎いー!」


勇者が俺と仲が良いのが気にくわないのか、よく俺を睨むし殺意を向ける。

それは本物で、柔じゃない。

ランスは、強い。と、思う。


「ランス、ティムはちゃんと御飯食べてるか?」
「食べてますよ。僕の愛の籠もった御飯を毎日食べてますからぁあ!」
「それは良かった。授業も出てるか?」
「勿論!僕の横で縛って受けさせてます」
「縛るのは止めろ。ちゃんと普通に受けさせろ」
「縛らないと逃げますから」
「なら仕方ないか」
「おい」


聞いてる限り大丈夫そうだ。
俺も新しく入った風紀の子達に仕事を教えたり組み手もしなければならないから勇者はランスに任せても安心だな。


「……ごちそうさま、また来る」
「おう!何時でもこい!次は組み手してやる」
「それはやらない」


勇者は顔を見せず行ってしまった。
出て行く前にランスに睨まれ舌打ちされた。俺、ランスに嫌われすぎだろ。そこまで嫌われる覚えは無いんだがな。


風紀の仕事をして、勇者とランスが仲良く授業を受けてたり食堂で食べてる所を見ると良かったなぁとぼのぼの思う。

味噌汁を飲みに来るのも週に二回くらいになってきたのは少し寂しいけど勇者が良い方向に向かってるなら我慢だ。


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