平凡勇者と腐った魔王様

□ラリマー勇者と神子と腐魔王
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今回の勇者と神子は、学校がまだ学園の時だ。
この勇者と神子も少し変わっていた、と思う。


「よぉ、魔王」
「…………ゲっ」
「今日こそお前を……倒す」


俺が風紀の指導室で1日の纏めを書いていた時に、普通に入ってきて普通に軽い挨拶をして普通に木刀を構えて普通に俺に襲っきた。

何度も襲われ過ぎて普通だと言ってしまっている。
毎日の様に襲ってくるのはこの学園の生徒会長であり、神子でもあるユキル・ハーバスト。

どうやら勇者が入学してくる前に俺を倒すつもりらしい。
その理由は勇者と付き合う際に邪魔者は消え失せろ。と、出会った二日目にに言われたのを覚えている。

ほぼ毎日吹っ掛けられて学園では生徒会と風紀は対立していると噂されてしまっている。
俺は仲良くしてホモォ事情を聞きたいんだがな。


まぁ、そんな仲が悪いと言われている俺らだが、何故か昼飯は一緒に食べている。
理由は神子が歴代の勇者が俺の飯に餌付けされているのでその味を覚えて作って毎日食べさせるんだとか。
俺を完全に不要人物にしたいらしい。


「なー、ユキルはどんな勇者だと思う?」
「さぁな。どんな勇者が来ても俺には特殊フィルターが掛かって好きになるらしいからな。どんな勇者でも俺の願望は意味が無い」
「いやー、でも有るだろ?お前がこんな勇者だったらなーって思う人物」
「……できれば、顔面はお前くらい美形が良い。性格は強い奴だな。直ぐに弱音を吐いたり愚痴しか言えん奴は願い下げだ」
「強気平凡は如何でしょうか?」
「生意気な強気はいらん。平凡顔は整形しろ」
「厳しっ!」
「それよりこの飯の味付けを教えろ」
「……はいはい」


俺の希望は俺様×強気平凡だ。
だから少しガッカリしたが、勇者が強気平凡でも神子には大好きフィルターが掛かるから問題ないんだと後で気づいた。

神子のユキルと仲が良いのか悪いのか解らない状態が1年間続いた。
あ、ついでに言うと神子には俺が腐男子だとバレている。
神子と勇者のラブラブを楽しみにしていると言ったら俺が目に入り次第、俺を捕まえてバックドロップをキメると宣言されました。


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.
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入学式当日。
不思議なことに勇者の名前は見つけたが勇者の姿が見当たらなかった。

入学式当日に体調を崩して休んだ?と思ったが連絡無し。
何故だ?


「どうやら俺の勇者は俺に会いたくない様だな」
「いや、訳ありで休んだんだよきっと!だから態度デカく仁王立ちしてるくせに弱々しく悲しい声で言うなよ、な?」


神子の態度と声が合って無くて凄く違和感である。
それに、いつも自信家の俺様会長が勇者の姿が見えなかっただけでこの弱り様……今まで勇者の為に色々努力してきてやっと会えると期待していた分、落ち込んでいるのだろう。


「体調不良なら明日か明後日会えるだろうから、な?夕飯はお前の好きなハンバーグだから食べるだろ?何時も通り俺の所に来るだろ?」
「……おう」


ほら、何時もなら反発するくせに素直だ。
大人しく後ろから着いてくる神子に違和感大有りで一緒に俺の部屋に戻った。

まぁ、落ち込んでいた神子は3日で立ち直って何時も通りになった。が、勇者はまだ現れず、現れたのはそのまた3日後の事だった。


「遅れて申し訳ないっス。俺の名前はフェロル・カブリアっていいます」
「で、こんなにも遅れた理由は?入学式が始まって一週間も経っているぞ?」
「迷っていたっス」
「は?」
「俺、すごーく方向音痴で……昨日まで隣の隣町にいたんっすよ!この建物を目指して歩いていただけなのに不思議っすよね!」


こんな理由を言われて俺、校長、神子はなんとも言えぬ顔と雰囲気になった。

で、本当に方向音痴か確かめる為に地図を渡して寮の部屋に行かせて俺と神子で後を追ってみると、


「……あれー?此処、どこ?さっきも通ったような気がするっス。この地図本当に合ってるっすか?」


勇者は地図を見てもさ迷っていた。
隠れながら後ろで見ている俺達は何度もそっちじゃない、こっちだろ、なんでそっちに行くんだ、逆!真逆!そっちで合ってるのに何故今逆に行けばいいんだって判断したんだ?!だからそっちじゃないって、あーまた回ってる…………


結論、本物の方向音痴でした。
何度も同じ道を歩く勇者。
夕方、夜になってもたどり着かなかったので神子が痺れを切らせて勇者を寮まで送った。


今回は俺様×方向音痴語尾にはッス系平凡君か……
今後が楽しみだ。


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