短編集

□拘束された激情
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気が付けば、どっかの倉庫みたいな、狭くて暗くてじめじめした場所にいた。


「い…、ってぇ…」


胸の辺りに痛みが走る。

やっぱり肋はいっちまってるようだった。


「デュフフ、やっと起きたんだね」

部屋の出入り口付近に杉田が立っていた。

「てめぇ!」

その面がムカつき過ぎて、俺は飛びかかろうとしたが―。


ガチャリ


嫌な音がした。

しかも腕が突っ張ってそれ以上動けない。


この時やっと、俺は自分の腕が鎖で縛られてんのに気付いた。

腕だけじゃない。

足にも鎖と重りかなんかがついてて、上手く動かせなかった。

「おい!何だこれは!解けよ!!」

「ムフフフ。それは無理なんだなぁ…
南くん。
君が負けたときの応酬はなにか覚えてるかなぁ?」


俺は思い出す。

血の気がさっと引いた。


「その様子じゃ覚えてるみたいだね。
よかったぁ。
じゃあ、はじめようか」


杉田が近づいてくる。

俺はあとじったがすぐ後ろは壁だった。

「逃げられないよ。南くん」

杉田は俺のシャツのボタンを丁寧に外していく。

「クソッ!コノッ!」

ガチャガチャ動かしてみたけど当然鎖は解けるわけがなく、
杉田を殴ってやろうにも、鎖のせいで届かない。

前が開かれ肌が剥き出しになる。

杉田は、俺の胸の飾りを手でつまむと

「南くんの、綺麗なピンク色だね。とってもおいしそうだ…」

「何言って…」

次の瞬間、杉田はもう一方を口に含みやがった。

「…!て…め…」

総毛立った。

杉田は、舌先で回りをなぞるようにしてから、吸い上げてくる。

反対側のもそれに連動させるようにしきりに回りをなぞっていた。


「あ…、や…」


俺は、思わず漏らした声に、口を塞ぎたくなった。

だが、手は縛られていて使えない。

「こっちのはどうかなぁ〜」

反対側をしゃぶる。

空いた方は指で弄られるが、残った杉田の唾液でぬめって、さっきより感じやすくなっていた。

ぐっと歯を喰いしばっても、その感覚には抗えない。

圧し殺した甘い声は、荒い息に変わる。

「ハァッ…、ハァッ…、や…、めろ…。
き、気持ち、わりぃ、んだよ…」

「気持ち悪い?」

回りを舌でなぞられ、散々焦らされてから、歯先で軽く噛まれたり、指先で弾かれたりする。

望まない快感が、刹那的に押し寄せる。

「んっあっ!あっ!あぁっ!」

視界に映った杉田は、よだれを垂らしていた。

「僕から見ると南くん、気持ち良さそうに見えるけどね」


「てめぇ、が、気持ち、わりぃ、っつってんだよ…!」


「酷いな、もう…」



しょげた顔をすると杉田は、俺から離れて、どっかに行っちまった。


気がすんだとは思えないが、とにかくチャンスだ。


「クソッタレ…!
せめて片方だけでも取れれば…!!」


腕に痕がつくことも構わず、力の限り枷から抜け出そうと手足を引く。

ギリギリ痛んで血が滲んできても、やはり抜ける気配はない。

鎖を引きちぎってとも考えたが、無駄だった。


そうこうしてる内に杉田が帰ってきた。




 
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