短編集

□拘束された激情
1ページ/6ページ




南 柚木(ミナミ ユキ)といえば、今この学校じゃ結構な有名人だ。

簡単に言うと不良ってヤツ。

女みてぇな名前だが、俺はれっきとした男だ。


□□高校といったらこの辺じゃ、治安の悪さで名前が知られてる。

不良どもの溜まり場だと。

専ら名高いのは松林とかいうの。

松林は学校の不良どものボス猿的存在で、もはやその横行は留まるところを知らなかった。

だが、俺から言わせたら雑魚だ。

“南、お前も仲間になれよ”

そう言われたのが、もう二月前のことか。

俺は気に入らないから、
“誰がなるかよ”って返した。

そしたら、いっちょ前に殴りかかってきたから、全員返り討ちにしてやった。

松林と猿どもは揃って病院送り。

ここ二月、学校が静かなのはそのせいだ。


だからといって、俺がもてはやされるわけでもなかったんだがな。


知れ渡ったのは悪評だ。


“あの松林までもやった南”


と陰で噂されるようになった。

まぁ、もともと群れんのは好きじゃないから、
孤立してんのは前からのことだがな。


悪い噂も今に始まったことじゃねぇし。


だからいくら学校が静かになろうが、俺には関係なかった。


つまらなくて仕方がない。

だが、授業に出るつもりはさらさらない。


だから俺は帰ることにした。





 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ