短篇小説

□タイムマシンは要らない
1ページ/7ページ

私は、なにも言えない子でいつもの友達に任せて、周りに流されて、そのクセ家に居ると内弁慶な自分。

高校入ったら変われると想って気付けば高二に差し掛かろうとしている高一の冬、私はいつもと同じように放課後に外へとくり出した。

『ちょっとこっち来なよ。遊ぼう』

いつもの言葉、どこで人選を間違えたのだろうか?いや、それは判りきっている。

運が悪いことに最初から失敗だった。

高校デビューはある意味人生の再スタート地点で、小・中連れ添った長年の友人達が居ない隣の県の高校に入った。

小中時代の私を知らない人達と共に違った自分になろうと必死だった。

最初のひとつき・ふたつきは順調でクラスの輪と言うべきか、皆とよく話し合えた。

でも、それは当たり前のなり行きだったのだと今では思う。

高校になると私を含め、県外の人が入り出す。詰まる所、知らない人がやって来る。

知らない人同士のクラス、最初にやることは友達造りなのだが当然ながら知らない人は一から十までなにも知らないので誰が自分に合う人か解らない。

結果として自分が外されないように、敵を作らないようにと努力し、例外なく取りあえずの一定の関係を確保してから自分のグループを作り出していく。

私はそこの段階と言うのが解らずにいたものだから四ヶ月たった頃には孤立、同じような人とグループを作ってしまった。

その中に電話でそんな言葉を伝えた人が居た。

気の合う人が四割ほど自分寄りの人だとするとあの相手は一割、しかも明らかに悪い意味での対極の人だ。

美術部で一緒になって何ヵ月としない内にサボりだし、最終的に強引に私は外に引きずり出されて今では彼女と同じ問題児にされているだろう。

最近になって文系から体育会系の部活に入り、それを口実に断りを入れているがこんな性格なので結局は従ってしまう。

いつも通りの道、いつも通りの学校から最寄りのデパートの出入り口に彼女を見つけた。

私は嫌な気分で一杯になる。

(また知らない人)

彼女はタバコを吸いながら明らかに大人の、良からねチンピラの男と一緒に居た。

このチンピラ男ともすっかり顔見知りになったってしまった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ