C・E・T

□C・E・T〜過去の呪縛〜
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プロローグ


妹が天界に出ていった後真っ先に王に面会を申し出た。

なにをとち狂ってか封じられたゲートの封印を解き一言も相談なしに出ていったことは明らかに掟に反している。

そもそもなぜこのような行動に走ったのか、そんな疑問と共に王にことの次第を報告すると王はこう言ってきた。

「なに、それは私が彼女に頼んだことなのだ。人間界の歴史、そして魔石が欲しいとな」

黒い髪と濃い青い瞳をした王は涼しげな顔でそう答えた。

我が耳を疑った。この四百年余り天界のことは禁忌にも近い扱いをしてきた。

天界にある魔石の事も今まで見て見ぬふりををしてきたのだ。

にも関わらず王は自ら妹に天界に行くよう命じたと言う。

「陛下。なぜこのようなことを!なぜ俺に行かせなかったのです!!俺のほうがネージュより適している!」

「だからこそだ。彼女は人間界に興味を持っていた。無理もないかもしれん。姉と兄がその地に行き自分のみがそれが許されなかった。なにより、姉がその命を散らせた世界なのだからな」

王座に座り込む王の青い瞳と自身の紅き瞳が真っ正面から対峙する。

王は困ったようため息を吐くと白髪の騎士に改めて向き直った。

「アース殿、御身はこの世の現状はご存じだろ」

「無論です。四百年ほど前にはすでに問題になっている。だからこそそれを打開するために…」

そこまで言ってなにか思い出したのかきつく唇を噛み締めた。

王もなにも言わなかった。どこか遠くを見るような眼で目線を上に上げた。

「我々はもはや時間が無くなっているのだ。だからこそ、今度は同じ鉄は踏みたくない」

「陛下」

王がなんのためにネージュを行かせたのかなにを言いたいのか薄々この会話で意図が掴めていく。

「陛下はなにをお望みなのです」

王は身を乗り出してきた。真剣な色を瞳に映しながら。

「聞いてくれるか?」



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