短篇小説
□タイムマシンは要らない
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私の高校生活はそんな日々に固定化されていた。
毎日がこんな感じでいい加減登校拒否でもしようかと第ニ校舎の三階の階段最上段に座り込み背中から廊下へと行儀悪く伸びながら半ば他人事か何かのように考えていた。
第ニ校舎三階は特別室とでも言うべき場所で、生徒個人が自由に選べる。いわゆる選択科目を行うためだけの階だ。
なのでこの階はクラスと言う名の教室はなく、休み時間ともなれば静かな静寂のみが居座る空間でしかない。
(なんでこの階は人が来ないんだろう?)
私は一向に構わないのだが既に誰かが陣取っていてもおかしくないのに今、その空間には私だけ、私だけの空間だ。
昼休みと言うこともありしばらくこの状態で寝ることにした。今は彼女は居ない。
私を引っ張り回し私が居ないと探しだし始める彼女、携帯の電源は切っているのでしばらくゆっくりできるだろう。
瞳を閉じて本格的に怠け出すこと五分、不意にその静寂は破られた。
「アサヒ発見」
瞳を開くと数少ない私の友人の一人、可奈(かな)がたっていた。
私は右手を垂直に立てて額に乗せると…。
「うわぁ〜、でかくなったね」
「…アサヒが立てば元戻るよ。つうか、りつ子が探してたよ。電話が繋がらないとか」
「ほっとけば良いじゃん。ウザいし」
「同感、私も嫌だし、でもそうも言ってらんないよ」
「なんで?」
「廊下」
短すぎる説明だったが目線を廊下へと移した瞬間言いたいことが分かってしまった。
「…あら〜」
私にとっての追跡者、りつ子がそこにいた。
彼女は私達の前まで来ると不機嫌な顔つきで私を睨めつけてきた。
「なんでココいんの?」
さすがにあんたが嫌いだからとは言えなかったので上半身を起こしボーッとしてたと答えてはぐらかした。
「まず行くよ。ココ寒いし、ほら」
季節は冬なので人の溜まる階とは違いここはひときわ寒い。
でもこの空間を気に入ってしまった私は本当にうっかり、本音が漏れた。
「でも誰も居ないし良いじゃん」
その一言が彼女は気に入らなかったのか更に不機嫌さが増したようでイラだたげに言ってきた。
「あんたは私の言うこと聞いてればいいの」