短篇小説
□過去の思い出
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「次はいつ会えると思う?やっぱ成人式あたりかねぇ?」
「そうなるんじゃねぇ?もうバラバラに散ってくわけだしさ」
透はアルバムを見つめたまま答えた。
僕は思わずため息を吐いた。正直、透以上に気の合う奴は今までの人生の中ではいない。
これから先透のように気の合う奴はどのくらい会えるのかと考えるとどこか沈んでしまう。
なんとも言えない不安と漠然とした何かがあった。
「透、啓太(けいた)メッセージ書いてぇー」
クラスの女子が一人白紙のページを差し出した。
他の男子達からも声がかかる。影の薄い奴から個性の強い奴までこの儀式は平等に行われた。
(成人式、二十歳になるまでが大変だな)
そんな事を考えながらメッセージを書き始めた。