WJ系短編詰込式

□怖い話をおつまみに
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例えばこんなメンバーが集まると、どうしてもこんな話になるわけで。





怖い話をおつまみに





ロージーの作ったお弁当。
ヨイチが朝早くから敷いた淡い緑のビニールシート。
春の訪れに花を咲かせた薄い桃色の桜。

雰囲気はばっちりお花見なのに、話している内容は大きくかけ離れたものだった。


「桜は人の血を吸って、ピンクに染まるって言うけど本当?」


私とナナで集めた桜ならではの怖い話を、事実かどうか尋ねる。
確かに桜に関した事だが、昼から話すものでもないだろう。

そんな二人にロージーは花見が台無しだと嘆いた。
そう、彼は怖いのが苦手なのだ。
魔法律家なのに。

ヨイチはそれを笑って、ムヒョは興味なさそうにおにぎりを口へ放り込んだ。
ビコはあこれ魔具作りに使えるかもとか言って、桜の木の皮を持ち帰ろうとしている。
隣りでは桜の木の下には死体がどーのこーの行っているのに。
随分マイパイペースだ。


「そもそもそれが本当なら、霊がいるはずじゃねぇか」


ムヒョはダシ巻き卵を食べながら言う。


「そうそう、きっと今だって桜の枝の間からオレ達の事こっそりの」


どかりといい音がして、話途中のヨイチが足を押さえて崩れる。
見ればムヒョの手には魔法律書。
どうやら角ですねを殴ったらしい。


「こいつら怖がらせるんじゃねーよ」


始めたのは私やナナなのに、いつの間にかヨイチへ責任転化されていた。


これがロージーがたまに言う、ムヒョのさり気ない優しさだろうか。
……そういうことにしておこう。








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