WJ系短編詰込式

□愛しいアナタに花束を
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水に手を伸ばす。

掬ってそっと唇を寄せれば、液体は指のわずかな隙間を通って逃げて行く。
ぱたぱたと落ちていく水は、戻らない。掴めない。

ねぇ、どうして。
私はアナタが欲しいのに、アナタは別の人の元にいるの?





しいアナタ花束






私は家業を手伝っている。

朝早く起きてたくさんの花の水を換える、そう、花屋。
元々虫の類いが嫌いだからその手伝いも好きではなかった。
でも、今では好き。
こうやって店番をしていると、大好きなあの人がやってくるから。
ただ唯一の彼との接点。


「こんにちは」

「こんにちは、リーさん」


私は自分ができる精一杯の可愛らしい笑顔を向けた。
けれどリーは照れるというような反応も返してくれず、きょろきょろと店の中を見渡している。

私は、笑顔を崩さない。


「今日もいつもと同じですか?」

「はい、お願いします」


いつもと同じように交わす会話。

ああ、彼の視線が私に集中している。
それが妙に嬉しい。
いつもは別の人を追う目が、今だけは私に注がれているのだ。
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