WJ系短編詰込式
□片割れ
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「む……」
「む、じゃねぇだろ。起きやがれ」
普段とは違う、肩を乱暴に揺すられての起床。
いつもの妖一なら、もっと優しく悪魔みたいな言葉を耳元で囁くはず。
『期末の点数全部言ってやろうか?』
『教室の窓ガラス叩き割ったのお前だよな』
心臓に悪いんじゃないかと思うくらい、勢いよく目覚めるのに。
ちなみに窓ガラスの件は不可抗力だ。
何てったって悪魔が関わっていたのだから。
違和感を感じて、ぺたぺたと肩を揺する手に触れる。
「んー」
「おいお前、寝ぼけてんのか?」
「よーいち」
「寝るなアホ」
今度は小突かれる。
うん、久々だ。
ぐずぐずしながら体を捩ろうとすると、頭痛がする。
それが妙に痛くてぱちっと額に手をやると、何故かまもりの声がした。
「ちょっと、乱暴に起こさないで!熱あるかもしれないのよ」
「うるせぇ、熱あるくらい見りゃわかる」
言い合い。
妖一の声が異様に頭へ響く。
それに比べてまもりの声は少し遠い。
ぼんやり目を開けると、そこには自分の部屋の白い天井。
ではなく、部室のそれ。
状況が理解できなくて目を動かすと、妖一が覗き込んできた。
「おい、大丈夫か?」
「だから、無理矢理起こさないでって……」
「起きなきゃ薬も飲めねぇだろうがよ」