夢散歩
□01:殺人現場目撃
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夢のようで夢ではない。
ふわふわと目的もなく歩いて進んでいた。
楽しいわけでもなく、怖いわけでもなく。
どこへ向かおうなど考えてはいない。
ただ、足の赴くままに。
そうしたら、そうしたら。
殺人現場目撃
どこかに向かおうとはしなかった。
特に目的もなかったし、まるで夢のような出来事だったから。
普通に夢かと思って、元気にスキップしてみたりもした。
うん、でも何これ。
いや違う、良く考えろ私。
目の前で起こっているのは殺人だ。
混乱する頭を必死に落ち着けて、その単語を引き出す。
けれど、それ以上は考えられない。
助けないと。
逃げなければ。
本来ならそう考えるべきなのに。
だが、目の前で人が刀ごと斬られて、正常でいられるわけがなかった。
刀で開いた傷がドロリと濁った血を吐き出す。
気持ち悪い。
斬られた人が倒れた。
自分自身の血の海に倒れて、小さく痙攣している。
そして人間をそんな惨い状態にした犯人が、私の方を向いた。
「おや、いつの間にそんな所に来たのかな」
向いた、のだ。
足から力が抜けて、へにゃりと地面へ座り込む。