WJ系短編詰込式

□私のヒーロー
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ぱっと上に視線を上げれば、ちょうど三階の窓が開いていた。

あそこから飛び下りたのか。凄い、さすがはヒーロー!
目をきらきらさせて、そんな風に思う。
これは明日から、ヒーローの手助けをしなくてはなるまい。
ほら、ヒーローのいる学校に一人はいる、いわゆる助手ポジションを狙うのだ。





「私は昨日ヒーローを見つけたの!」

「あーはいはいわかったから」

「だからね、私はその人を見つけて助手になろうと思う」

「そろそろ目を覚ましなさい」


友達に昨日の話を聞かせると、それはもう呆れたように諭された。
けれど私は根気よく話す。
だってこの生徒数の中から、一人でヒーローを見つけるのは骨が折れる。
ならば友達を巻き込まなくてはなるまい。

なかなか真面目に聞いてくれないが、根気よく押せばどうにかなるかもしれない。
……もしかしたら。

いつの間にか私の話に飽きたのか、本を読むのを集中し始めた友達。
うん、冷たいぞ。
少し、いや、相当その反応に寂しくなりながら、ぼんやりと校庭を眺めた。

朝のその場所のやり取りはなかなかおもしろい。
誰と誰が友達で、誰が誰を気にしていて。
上から見ていると、そんなことも発見できる。

すると。


「クナイくーん」


透き通るような女の子の声。
ふと、そちらへ視線をやる。
居たのは学年で一、二を争う美少女と言われている女の子。
名前?
……覚えていない。


「あ、青葉さん」


私は二階から、良く気がつけたと思う。
クナイ君と呼ばれた男の子が、美少女の呼び声に振り向く。
本当に地味な眼鏡で、マフラーを巻いた男の子。
あ、見つけた。





ターゲットを発見。
隊長、捕獲しますか?




Fin...







即刻捕獲してください

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