WJ系短編詰込式

□Lは恋に落ちました。
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どうやらさすがの彼も、Lの様子がおかしいことに気がついたらしい。


「竜崎、大丈夫ですか?」

「何ですか、松田さん」

「いや、だから大丈夫ですか?」

「私は至って元気ですけど」


嘘つけよと部屋にいた誰もが思った。
しかしLは特に気にすることなく、新しいケーキを取りに立ち上がる。
実に姿勢が悪い。

冷蔵庫から帰って来た時には、片手に三つもケーキを持っていた。
さっき二つ食べただろうに。

その甘い物三昧に月は気分が悪くなる。
Lはこれからだ。
いつももっと食べる。


しかし。

一つをつつき始めて、から十数分。
ケーキが一向に減る様子がなかった。


「はぁ……」
「ふう……」


とか訳の分からないアンニュイな溜め息を吐き続けている。
月は少し気味悪くなった。
松田はそれをじっと観察していたが、突然思い付いたように表情が明るくなる。


「わかりましたよ、月くん!」

「何がですか」


話しかけた月が返事をすると、松田はとても嬉しそうに話し出す。


「あれって、恋の病ですよね!」

「……松田さん……」

「しかもアレは片思いと見ました」


にやりと笑う松田に、視線すら向けない月。
Lはまだ溜め息ばかりついている。


「松田さん、竜崎はそんなことであんな風にはなりませんよ」


なってます。


「もっと事件のことを考えてください」


解決しなければならない人が恋の病に陥ってますが。
実は松田はそっちには鋭いようです。


今度はケーキを放って紙をがさがさし始めたLに、月は思った。


あれ、この人と命の駆け引きしているんだよな、と。







彼女が目に焼き付いて離れない

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