学園BASARA
□番外編
2ページ/9ページ
業間休み
トイレから帰ってきた私は同じく教室に入ろうとしていた風魔君の袖に目が行った
『あ、風魔君ボタン取れかかってるよ?』
言われて気付いた風魔君は左腕を曲げて取れかかってるボタンを見る
そして、本当だ、取れかかってるね、と言いたげに私を見た
そういえばさっき佐助から裁縫セットをもらったんだった
まさかこれを見越して?
いや、まさかな
『縫ってあげようか?』
自分でそう言い出した事なのに自分が一番驚いたけど、風魔君は首を縦に振って了承してくれた
二人で席に戻ると早速学ランを脱いで渡してきた、なんか脱ぎ方がセクシーで見惚れてしまったのは内緒だ
もう六月なのにビッチリ上までボタンを留めてる風魔君は鉄人を超えて超人だと思う、絶対暑いだろ
『あぁ明日から夏服にするつもりだったんだ?衣替えも過ぎたし、最近暑いもんね』
心の中を読まれた
普段通りの無表情だったけど、やっぱり暑かったんだ
とはいえ、ボタンを付けてあげると言ってみたものの、私より遥かに裁縫ができる風魔君のボタンを縫ってあげるとは自ら墓穴を掘ったようなものじゃないか
そりゃ私だって裁縫くらいはできる、ボタンだって付けられる
でも風魔君以上に綺麗に縫い付ける自信はない
そういえばこの袖についてるボタンだけど、昔ナポレオンが兵士たちが袖で鼻水を拭いているのを見てみっともないと怒って、拭けないようにボタンを付けたとか
その名残で学ランにも付いてるみたいだけど、反対側で拭けるような気がするのは私だけか
てか八割縫い終わってから言う話じゃないけど、学ランが黒なのに白い糸で縫っちゃった、申し訳ない
『とりあえず付けたけど…風魔君が縫った方が綺麗に付けられたよね、ごめんね変になっちゃって』
縫い終わった袖に付いた一つだけ白い糸で縫い付けられているボタンを見て、結構目立つなと思い縫い直そうと筆箱からハサミを取り出す
糸を切ろうとした時、風魔君がハサミを持つ手に手を重ねて止めた
『え、これでいいの?変に目立っちゃうけどいいの?』
風魔君は首を縦に振った
白い糸ってのも俺だけの特別になる、一生懸命孔怜が縫って付けてくれたものだから俺はこのままでいいって事ですね
やだ風魔君ったら恥ずかしい
でもまぁ学ランの持ち主である風魔君本人がこのままでいいと言うのなら縫い直す必要もないか
ボタン付けたての学ランに早速袖を通す風魔君
左袖に付けられた白い糸で縫い付けられているボタンを指で何度も弾くと満足げに笑って私の頭を撫でてくれた
『え、これ?もらっていいの?』
撫でている反対の手で差し出してきたのは女子なら誰でも知ってるとある有名店のお菓子が三つ
『ありがとうね風魔君!』
すぐに食べるのは勿体無いから昼休みにゆっくり味わって食べよう